出走18頭が全て重賞勝ち馬の天皇賞(秋) 15年前に生まれた史上初の8歳馬平地GI競走制覇
09年の天皇賞(秋)は出走18頭全てが重賞勝ち馬、しかもそのうち9頭がGI勝ち馬という豪華メンバーだった。しかしながら勝者は…。多くのファンにとって意外な結末となった15年前の戦いを回想する。 【写真】31戦目でようやくGI制覇 カンパニーの軌跡 まずはメンバーを振り返りたい。GI馬は五十音順にアサクサキングス、ウオッカ、エイシンデピュティ、オウケンブルースリ、キャプテントゥーレ、コスモバルク、スクリーンヒーロー、ドリームジャーニー、マツリダゴッホの9頭。当時、既にGIを6勝していたウオッカに加え、前年の菊花賞馬のオウケンブルースリ、同年の宝塚記念でGI・2勝目を手にしたドリームジャーニーなど、タレントが揃っていた。 しかし、大挙出走のGI馬の中に勝ち馬がいなかったのだから、競馬は面白い。レースはエイシンデピュティの逃げで幕を開けた。前半1000mの59秒8は天皇賞(秋)では超スローの範疇。そんな中、1番人気のウオッカは後方で折り合いに専念。2番人気のシンゲン、3番人気のオウケンブルースリも中団より後ろの位置取りとなった。この時点で多くのファンは不穏な空気を感じ取ったのではないだろうか。迎えた直線、好位でロスなく運んだスクリーンヒーローが先頭に並びかける。その刹那、外から襲い掛かる馬がいた。横山典弘騎手のカンパニーだ。一瞬で先頭に立つと、一気に後続を突き放し、あっさりと勝負をつける。最後は熾烈な2着争いを続けるスクリーンヒーローとウオッカに1馬身3/4差をつけて悠々とフィニッシュ。8回目の重賞制覇は、史上初の8歳馬による平地GI競走制覇となった。 カンパニーは続くマイルCSでGI連勝を果たし、惜しまれつつターフを去った。35戦12勝の成績を残し、獲得賞金は9億円超え。GII番長から最後の最後で卒業を果たし、多くのファンに愛された競走馬人生だった。