「MSGM」は、ポジティブなエネルギーあふれるショーで15周年をお祝い 海とデザイナー自身のつながりから着想
カギは「若さの中に見出す“気楽さ”」
「MSGM」は通常、ミラノ・メンズのショーではメンズの新作のみを発表しているが、今回ウィメンズのプレ・コレクションを一緒に見せたのにはいくつかの理由があった。一つは、09年のデビュープレゼンでメンズとウィメンズを一緒に見せたことを振り返り、同じようなエネルギーをショーにもたらしたかったということ。そして、現在のビジネスは約5000万ユーロ(約84億円)規模で、その70~80%を占めるプレ・コレクションに光を当てたいという思いもあったという。それだけでなく、「以前はメンズ独自のストーリーやインスピレーションがあったが、今は質感やプリント、文脈などウィメンズと共通する部分も増えた。それなら、一緒に見せたらいいんじゃないかと感じた」と明かす。
ブランドを立ち上げてから15年、ジョルジェッティ自身やチームも顧客も年を重ね、クリエイションも変化。近年はより落ち着いた提案も増えた印象だ。だが、彼が常に追求しているのは「若さの美学」であり、「若さの中に見出す“気楽さ”が、自分にとって重要なカギだ」と話す。その点で課題と考えるのは、人件費や原材料費などの生産コストが上がる中、アイテムの大半をメード・イン・イタリーにこだわる「MSGM」で、いかに手の届きやすい価格帯を維持していくかということ。「私にとって“気楽さ”は、クリエイティブなプロセスにだけ表れるものではなく、買い手が軽やかな心持ちでいられるかということでもある。もはや挑戦すべきは、売上目標ではなく、価格帯を維持し続けることだ」と語った。
また、今後はトップ市場の一つであるアジアでの存在感と認知度を高めるため、特に韓国、中国、ベトナムへの注力を計画。商品面では、アンダーウエアへの再挑戦やアイウエアのライセンス契約、スキンケアラインの開発なども視野に入れるようだ。