そしてイベント後半には、韓国領に迷い込んだ五郎の入国手続きを行う入国審査官を演じたユ・ジェミョンが公開をお祝いして緊急来日。大きな拍手のなか登壇したユ・ジェミョンは「ユ・ジェミョンです。ご招待ありがとうございます」と日本語であいさつすると、松重の演出について「非常に真摯に慎重に演出してくださいました。短い時間でしたが、共に作り上げていく過程がとても幸せな時間でした」と撮影を振り返る。

松重豊と祝福に駆け付けたユ・ジェミョン

　松重も「長回しのなか、エチュードのようなやり取りができました。あらためてお芝居って言葉じゃないんだなと思えた」とユ・ジェミョンのコメディセンスに脱帽したというと「韓国ではかなりコンパクトな撮影だったのですが、それを見たユ・ジェミョンさんが『なんて勤勉なんですか』と言って、すごいごちそうをしてくださったんです。すごくラッキーでした」と茶目っ気たっぷりに話していた。 　「孤独のグルメ」の集大成として封切られた本作。松重は「今回の試みは、大それたことをしているという自覚があります」と神妙な面持ちになると「でも映画が面白い時代になっていかないと、後に続かない。一俳優がちょっとした動きをつけて何かの起爆剤になれば」と作品に込めた思いを告白し「この映画が多くの方に支持されれば、次につなげることができると思います。それを祈って今日からの日々を過ごしたいと思います」と笑顔で語っていた。（磯部正和）