阪神ソラーテ問題の本当の責任はどこにあるのか?
阪神のヤンハービス・ソラ―テ(32)が9日、契約を解除されて帰国した。6日の広島戦で、1軍昇格のためにマツダスタジアム入りしたが、広報発表によると「モチベーションが上がらない」とベンチ入りすることを拒否したため、球団は、それをチームの統率を乱す問題行動と捉えて解雇した。7月22日に途中入団した元メジャーリーガーは、在籍、わずか50日で阪神を去ることになった。前代未聞の職場放棄を行ったソラーテに全責任を負わせる決着のつけ方になったが、本当にソラーテ一人だけが悪かったのか。ファンに向けての“言い訳”は、それでよかったのかもしれないが、戦力として獲得した新外国人をコントロールできなかった管理責任が球団にある。今回の騒動の総括と反省をしっかりと行わねば今後もマット・マートン、マウロ・ゴメス以来、成功していない外国人強打者の獲得にまた苦労するのかもしれない。 関係者の話を総合すると、ソラーテがキレたのは、ファームでプレーしていた神戸から広島に移動し、マツダスタジアム入りしてから「スタメン出場でないこと」を知ったため。首脳陣は、CS出場権を争う広島との3連戦のうち最初の2試合は代打でスタンバイさせ、ジョンソンが先発予定の第3戦にスタメン起用する考えだったようだ。 清水ヘッドから伝えられたソラーテが納得しなかったため、矢野監督が直接話をしたが、緊急会談は決裂した。メジャーでレギュラーを張り、一時、年俸を5億円近くもらっていたソラーテのプライドが、それを許さなかったようである。 また試合に出ることに飢えているソラーテは、この先の野球人生をも考え、レギュラーで出続けることにこだわったという情報もある。 そもそもソラーテが1軍に再昇格する際に、どんな説明がされていたのかも不明だが、彼が思いこんでいた昇格イメージとは違っていたのだろう。現場指揮官の起用法に従えないのは言語道断だが、コミュニケーションは十分になされていたのだろうか? CS出場権を得るために戦力として考えていたソラーテを戦力にできなかった管理責任が球団にはある。 ソラーテは7月21日に緊急来日する、23日に練習合流、24日にファームの練習試合に1試合出場しただけで26日の巨人戦(東京ドーム)に「2番・遊撃」でデビュー。ぶっつけ本番で決勝2ランを放ち「セクシータイム」のキャッチフレーズが話題を呼んだ。 7月30日の中日戦(甲子園)ではポール直撃のサヨナラ逆転本塁打を放ち、緊急獲得した助っ人は、後半戦の起爆剤としての期待が高まった。 だが、一方で守備の不安が顕著となり、遊撃、二塁、レフト、一塁と試合の中で適性を見定める羽目になった。肩に不安があるのか、二塁での守備位置は、かなり前。神宮球場で試合した際には、同じ二塁のヤクルト山田哲人に比べて2、3歩は前を守っていた。必然、守備範囲が狭くなり、ソラーテの場合、普通の二塁ゴロがスライディングキャッチしてのファインプレーになった。レフトでは、打球の目測を誤り致命的なミスが失点につながった。ただでさえ失策が目立ち、得点力アップと同時に守りで負ける試合をどう減らすかがチームの課題だったのにソラーテを入れた影響でセンターラインはガタガタに崩れた。