「プロ野球90年」家族3代巨人ファン、女流棋士・矢内理絵子さんが語る野球の魅力 「将棋では絶対に味わえない盛り上がり」
目に見えない「流れ」があるのは野球も将棋も一緒。タイトル戦で追い込まれても、一局勝てたらそこから連勝できたり、いい流れで指せている時に席を立ってしまったがために、余計なことを考えて失敗したりということがあって、一手を境にいきなり流れが変わってしまうということを感じます。野球でもダブルプレーやバント失敗で流れが変わることが、勝負の分かれ目になるんじゃないでしょうか。試合が終わるまで油断しちゃいけないし、負けそうな時も、最後まで何が起こるかわからない。 ジャイアンツの原辰徳・前監督と対談したことがありますが、チーム全体の最善を考える大局観が大事なのだと感じました。それぞれの選手の特性を考え、その日の調子も見ながら、すごく戦略を練っているんだろうと思います。分からないなりに「次はこうかな」と配球を読みながら見ることもあります。 ▽長男も夢中 小学3年生の長男は岡本和真選手のファン。やはりホームランバッターはヒーローになりやすいですね。シーズンが始まると、手が付けられないぐらい野球にのめり込んでいます。今のジャイアンツのユニホームは背番号の上に名前がないので、新しく出てきた若手の選手が分からなかったりすると、息子が全部教えてくれます。順位とか打率とかのデータも、すごく調べているんですよ。iPad(アイパッド)を使って勉強するふりをしていて、近づいたら野球の動画を見ています(笑)。
テレビ中継やネットの配信があるので、身近なんでしょうね。よく公園で選手のまねもしています。この間は阪神の近本光司選手をやっていました。右利きなので左で構えても打てないんですけど、まねだけはするんです。実際には選手は遠い存在だけど、近くに感じられてのめり込めるんだろうなと思います。 息子はジャイアンツが負けていても「ヒットを打って、ヒットを打って、最後に岡本選手がホームラン打てば」って夢みたいなことを言うんですけど、そういうことが想像できるだけでも楽しい競技ですよね。