オリンパス「違法薬物購入疑惑のCEO」辞任で後継探しの苦悩再び 1年前にトップを譲った竹内会長の胸中は?
「注力中の治療機器事業はアメリカを拠点に開発を進めている。一方の内視鏡事業は日本が主体で開発も改良を主体とした日本のやり方。双方の事業を理解できる人材という点で、社内の日本人の方が社長になるのが妥当と思う。そうすると場合によっては『グローバルメドテック』の推進自体が遅れてしまうのではないか」 ■今のオリンパスは過去と異なる 2011年の粉飾決算事件を機に経営危機に陥ったオリンパス。 その再建を果たした立役者の1人が竹内会長だった。
2019年に社長に就任すると、「真のグローバルメドテックカンパニーになる」という目標を掲げ、矢継ぎ早に改革を推進してきた。グローバルメドテックカンパニーとは、端的にいうと「世界で戦える医療の会社」だ。 そのため竹内会長の社長時代に、看板事業だったカメラ、祖業の顕微鏡の2事業を売却。世界シェア7割超を占める消化器内視鏡で知られる医療機器事業に経営リソースを集中させ、「医療専業」へと舵を切った。 一連の改革の成果により、2022年度には売上高営業利益率が20%超の高水準となった。2024年度は売上高が17年ぶりに1兆円の大台に復活する見通しも立っている。もはや過去のオリンパスではないとの竹内会長の言葉は理解できる。
後任CEOの選出は指名委員会に委ねられる。 メンバーは3人。委員長は伊藤忠商事出身の藤田純孝氏。残りはジョンソン・エンド・ジョンソン出身のゲイリー・ジョン・プルーデン氏と、武田薬品工業出身の岩﨑真人氏だ。 3人はいずれも社外取締役。社内取締役ではカウフマン氏が委員に名を連ねていたがCEO辞任と同時に外れた。竹内会長も指名委員からすでに外れており、後任CEOの選出には関与しないとする。 オリンパスは指名委員会のメンバー構成について、「社外取締役のみとしている意図はとくにない」とする。
ただ、企業不正問題やガバナンスに詳しい山口利昭弁護士は一般論と前置きしたうえで、「指名委員会が社外取締役のみで構成されるのは、重大な不祥事があったときなど特殊なケースを含め、かなり限定的」と指摘する。 指名委員会の決定は取締役会で覆すことはできない。それだけに「社外取締役の3人に後任CEOの選出を委ねた意味は大きい」(山口弁護士)。 ■報酬委員会はどう判断する? 現取締役会で社内取締役は竹内会長と監査委員の大久保俊彦氏の2人。そのほかに11人の執行役、7人の執行役員がいるが、「明確な候補としてのサクセッションプラン(後継者育成計画)の進展がそこまで行っていない」と竹内会長は話した。