海外レポート(1):オリンピック2024に沸くパリで、ル・コルビュジエの名建築を訪ねて 「サヴォア邸」は必見の世界遺産だった
さて、サヴォア邸は、ル・コルビュジエ(本名:シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ=グリ)と従兄弟のピエール・ジャンヌレが手掛けた、保険仲介会社を経営するウージェニーとピエール・サヴォア夫妻の週末別荘だ。装飾を廃した幾何学的な形状で、ガラスや鉄筋コンクリートを用い、近代建築の本質を実現化したもの。 広い敷地を歩いて、ようやく姿を見せたサヴォア邸。まずは、四方をぐるりと回って、外観を見た。それぞれに異なる印象を見せるが、反対側(北西)に位置する主要玄関から見るのが、一番ピロティや連続窓が分かりやすい。
正面から左に回って側面となる南西側の外観には、開口部から屋上庭園の一部が見える。
正面と反対側の主要玄関となる「北西のファサード」。こちらが入り口だ(下記図面上の①)。
近代建築の5原則はどのように具現化されている?
まず、四方から見て分かるのは、「自由な立面(ファサード)」だ。北西のファサードでよく分かる、「ピロティ」とは、地上部分の空間を開放するために、構造を鉄筋コンクリートの柱で支える手法。ピロティによって、サヴォア邸では、建物の地上部分を自動車で通ってガレージ(下記図面上の⑨)に収めることができる。また、居住空間となる2階部分の「水平連続窓」は、ファサード上に途切れることなく連なり、どの部屋からも外の景色を見られる開放感が得られる。 では、中に入って見学することにしよう。
さて、主要玄関は曲面のガラス張りの壁にあり、内側にエントランスホール(下記図面上の③)がある。ここから入館して受付を済ませると、日本語の音声ガイドと資料がもらえた。
間取り図を参照して、地上階を見ていこう。③のエントランスホールは、ガラスの壁からの日差しでとても明るい。左手にあるらせん階段(⑤)は、使用人専用で、すばやく移動できるように地下から屋上まで続いている。隠すのではなく、美しくデザインされているのが特徴。
らせん階段の奥に、シンクがあり衛生面の配慮もされている。⑥使用人の寝室2室、⑦ランドリールーム、⑧運転手の住居などは、その多くが事務室用に使われていた。
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