村とのつながり知る機会に 天龍村郷土美術館で荒木十畝展【長野県】
長野県天龍村文化センターなんでも館内にある「郷土美術館」で、特別展「荒木十畝とその一門」が開かれている。近代を代表する日本画家・荒木十畝(1872~1944年)の来村100周年などを記念し、十畝や弟子の亀割隆(下條村出身)らの日本画を展示。訪れた人たちに村と十畝のつながりを伝えている。 十畝は長崎県出身。「守旧斬新主義」を掲げ、伝統的な日本画を継承しながらも、新しい日本画の構築に取り組んだ。日本画家会幹事なども務め、近代日本画団をけん引。村教育委員会によると、1924(大正13)年に写生旅行のため飯田下伊那地域を訪れ、天龍村にも滞在した。 十畝との交流をきっかけに、村では全県に先駆けて美術館の設置を構想。1932(昭和7)年に旧平岡村役場内に「天龍美術館」が開設された。戦争や世界恐慌などで長くは続かず閉鎖されたものの、当時収集された十畝の作品が村内に残っている。 今回の特別展では、村や村民が所蔵している十畝や養父の寛畝、2人に師事した弟子らの作品計22点を展示。十畝の日本画は花や鳥を題材にした作品が中心だ。この他にも天龍美術館の設置を求めて村に提出された趣意書3通の写しも見学できる。 村教委の担当者は「村内の年配の人たちは十畝のことを知っているが、若年層が知る機会が少なかった。展示などを通して若い人たちに伝承していきたい」と話していた。 特別展は12月22日まで。開館時間は午前10時~午後6時、月曜、祝日は休館。入場料は大人200円、中学生以下100円。村民無料。問い合わせは村教委(電話0260・32・3206)へ。