【三谷幸喜】長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李など、意外なキャラクターの見どころ
三谷幸喜さん脚本・演出の新作映画『スオミの話をしよう』が9月13日に公開。5年ぶりとなる映画の見どころや、60代になって健康面で気をつけていることなどを聞いた。 【写真】大人の心に響く!特別インタビュー
『スオミの話をしよう』
三谷幸喜脚本・監督のミステリー・コメディ映画。大富豪の妻・スオミが行方不明に。夫と4人の元夫たちが集まるが、各人が語る思い出の中のスオミはまったく異なっていた。長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎ほか共演。9/13より全国公開。 ©2024「スオミの話をしよう」製作委員会
“ヘルシンキ”と口ずさみ、楽しい気分で劇場を後にしてもらえたら
三谷作品といえば、豪華キャストが演じるユニークな登場人物たちを楽しみにしている人も多いはず。5年ぶりの新作映画となる長澤まさみ主演の『スオミの話をしよう』は、まさにその醍醐味を満喫できる作品だ。西島秀俊や松坂桃李など、三谷組に初参加の面々の、意外性のあるキャラクターは、どのようにして? 「西島さんにはこんなセリフをいってほしいな、松坂さんにはちょっとクセのあるプライドの高いキャラを演じてみてほしいな、そんなふうに考えながら脚本を書きました。もともと舞台の人間なので、やはり僕にできるのは俳優さんを魅力的に描くこと。長澤まさみさんも含めて、セリフも長いし、長回しも多かったけれど、皆さん、僕が描いたイメージどおりに演じてくださいました」 映画では初の三谷作品で主演を務めた長澤の“七変化”も見どころ。しかし、意外にも(?)女性の描写にはすごく悩むのだとか。 「昔から女性を描くのがヘタだといわれていて……。僕自身もダメな男たちを描くのはすごく筆がのるけど、女性になると気負いが入ってしまう。だから女性に反感を抱かれないキャラにするために、現場の女性スタッフにも意見を聞いてセリフを練ったりしました。ネタバレになっちゃうので詳しくはいえないのですが、スオミがひたむきに、一生懸命生きているんだ、ということさえきっちり伝われば、結果的には成功なのではないかと」 これはラストで長澤&男性陣が披露する、本気度満点のミュージカルシーンにもつながっている。とりわけ、何度も繰り返される「ヘルシンキ」という歌詞と楽曲は一度聞いたら忘れられない! 「スオミという名前もフィンランド語ですが、なぜフィンランドかというと、そんなに意味はないんですよね。だけど、ふと浮かんで調べてみたら、なんか音やフレーズがおもしろいなと思って。演劇だと最後はカーテンコールがあって完結すると気づき、ミュージカルというかたちにしました。2時間の映画では伝えきれないかもしれないスオミの“一生懸命さ”を、ここにこめたんです。『ヘルシンキ』と口ずさみながら、楽しい気分で劇場を後にしてもらえたら」 謎に包まれた「ヘルシンキ」の意味とは? 三谷さんだからこそ描くことができる“役者ありきの演劇的”な映画。ぜひ劇場のスクリーンで体感してみてほしい! 60代になっても精力的に新作に挑み続ける三谷さん。最後に健康面で気をつけていることは? 「大河ドラマを書いていた時期はベッドで寝るのは2~3時間ということも。血圧も高くなってしまって。だから、今は最低7時間は寝るようにしています。もう無理はきかないし、体が第一なのでね」
【三谷幸喜】 みたに こうき●’61年、東京都生まれ。脚本家。大学在学中の’85年に劇団「東京サンシャインボーイズ」を結成。’93年のドラマ『振り返れば奴がいる』や翌年の『古畑任三郎』で人気脚本家の地位を確立。’97年の映画『ラヂオの時間』で映画監督デビュー。近作は’22年のNHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、’24年の舞台『オデッサ』ほか。 撮影/ TOWA ヘア&メイク/立身 恵 スタイリスト/中川原寛(CaNN) 取材・原文/今 祥枝 ※エクラ2024年10月号掲載