第93回選抜高校野球 東海大相模、8強進出 零封リレーで守り抜く /神奈川
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会第7日の26日、東海大相模は鳥取城北(鳥取)を1―0で降し、第90回大会(2018年)以来3年ぶりのベスト8進出を決めた。二回に佐藤優真(3年)の適時打で先制した1点を、公式戦初先発の求航太郎(2年)とエース・石田隼都(3年)の零封リレーで守り抜き、接戦を制した。準々決勝は大会第9日の28日、第2試合(午前11時10分開始予定)で、福岡大大濠(福岡)と対戦する。【宮島麻実、中島怜子】 マウンドに集まった選手たちは、門馬敬治監督が伝令の小林翔(3年)に託した言葉に、思いを一つにした。「同点も怖くない。攻めろ」。九回裏1死三塁、リードはわずか1点。その言葉のまま、石田が気迫を前面に出したピッチングを見せる。後続を2者連続三振で抑えると、勝利に雄たけびを上げた。 ピンチを迎え、選手たちの脳裏には同じ場面があった。2020年の秋季関東地区大会2回戦。東海大甲府(山梨)戦は、1―0で迎えた九回裏に連打を浴び、サヨナラ負けした。「試合後だから言えるが、同じ展開」(門馬監督)だった。石田が「同じ場面で勝ち切れたのはチームにとってプラス」と振り返ると、門馬監督も「選手が乗り切ったことで秋の悔しさを力に変えたと証明できた」と喜んだ。 この試合、一回のマウンドに立った求は公式戦初先発。1回戦では登板機会がなく、父建臣さん(53)に「早く投げたい」とラインで送ったという強気の右腕は「チームが勝つために今までやってきたことを全部出す」と全力投球。四回まで相手打線を2安打に抑え、得点を許さなかった。アルプススタンドで観戦した建臣さんは「先発と聞いたときは心臓が止まりそうだったが、思い切ってやれていた。夢のようで感無量だ」と笑顔で話した。 この試合の決勝点は、佐藤の甲子園初打席で生まれた。二回に相手のエラーで出塁した柴田疾(3年)が盗塁に成功。1死二塁の場面で、佐藤は「初打席だから思い切ってふっていこう」と1球目のカーブをフルスイングした。「同じ球がくる」。読み通りに2球目のカーブを捉えると、打球は三塁線を抜けた。スタンドで見届けた母亜紀子さん(44)は「良かった。ほっとしました」とはにかみ、「調子があまり良くないとも言っていた。これがきっかけの一打になれば」とエールを送った。 ◇良い写真撮りたい ○…「野球部のみんなが頑張っている一瞬を写真に収めたい」。三塁側アルプススタンドでは、東海大相模の写真部員5人が真剣な表情でグラウンドに向けカメラを構えた=写真。野球部が甲子園に出場した時はプレーする選手や懸命に応援する生徒らの姿を撮影し、文化祭で展示したり、希望する保護者らに贈ったりしている。新型コロナウイルスの影響で観客数が制限される今大会は観戦に来たくても断念した人もいるため、例年以上に特別な思いを持って臨んでいるという。部長の藤原茉祐(まひろ)さん(3年)は「球場に来られない人のためにも、良い写真を撮りたい。秋に行われる文化祭の『建学祭』などで見てほしい」と話した。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇自主練習で技術磨き 小島大河捕手(3年) 九回の一打同点のピンチに、マウンド上では背番号4の捕手がエース・石田を鼓舞した。「力を抜いてバッターに集中しよう。自信を持って投げてこい」。最後の打者を三振に抑えると、キャッチャーミットを大きくたたいて勝利を喜んだ。 元々は主将の大塚瑠晏(るあん)と二遊間のコンビを組む二塁手だ。捕球が良く「小島だとチームが締まる」という門馬監督の意向で、今大会は捕手に起用されている。公式戦初マスクが、甲子園での初戦という抜てきだった。2試合で1失点と、その役割を十分に果たしている。 チームの方針で捕手の練習を始めたのは1年の冬。先輩の捕手に指導を受け、自主練習の時間はバッティングと同じ時間をつぎ込んで技術を磨いた。石田は「低めでもボディーでとめてくれる」と信頼を寄せる。 試合後、「打者とピッチャーの特徴を合わせながら配球できた」と自信ものぞかせた守りの要は、クリーンアップを担う打線の軸でもある。「もっと攻撃面で点をとって、今日以上の守備をして絶対に勝ちたい」と次戦を見据えた。【宮島麻実】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽2回戦第1試合 東海大相模 010000000=1 鳥取城北 000000000=0