心をかき乱す失礼な人との付き合いかた。「かかわらない」より有効な方法とは
「職場では誰もが二重人格」と分かればラクになる
「かかわらない」「距離を置く」と同じくらい耳にするアドバイスに「気にしない」があります。これは僕も、心の掛け軸にしています。 なぜ「気にしない」は有用か? それは“職場では誰もが二重人格だから”です。 つい先日も元教え子から、「ロケでディレクターに嫌なことを言われた」という愚痴を聞いたので、こう返しました。 「女子プロレスのドラマが流行ってるけど、悪役レスラーが私生活でも暴れてると思う? なわけないやん? 働いてる人はみんな職場というリングに上がったら別人格。そいつ自体は苦手にならんほうがええよ」と。 苦手だった上司が、別のプロジェクトで一緒になると“そうではなくなった”経験はありませんか? 職場にいる人はみんな、出社時に“日常人格から仕事人格”になっています。 むかし「企業戦士」という言葉がありましたが、担っている業務やタスクによって戦闘キャラやモードを選択しており、日常人格は別もの。あんがい自宅では、ソファから動かないダメ人間だったり、シャワー中に「あ~!」って叫んじゃう気疲れさんだったりするんです。 どんなに失礼な同僚や取引先でも“人格の半分”だと思えば、こみ上げてくる感情もセーブできる。なので「気にしない」は有用なんですね。 ちなみに僕も、よく失礼な言葉をうけますが、こんなふうにやり過ごしています。 「うわ、すっげー無礼やな。ガツンと言ったろうかな? や、待てよ。しょせん仕事人格か。気にせんとこ。……あっ、無礼な言葉をスルーすることを“無礼句スルー(ブレイクスルー)”って言えんかな? コラムに書けんかな?」 そう、最後はコラムというパイプに流すこと、ちゃっかり飯のタネにすることを夢想して、溜飲を下げているのです。 どうやら、みなさんに伝えたら、冒頭の「人違いさん」のこともどうでもよくなったようです。 ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。 桝本 壮志/Soushi Masumoto 1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。
COMPOSITION=古澤誠一郎 TEXT=桝本壮志