前田愛「やさしい言葉しか…本当にやさしくしていただきました」義父・中村勘三郎さんとの思い出に涙『中村屋ファミリー』インタビュー
歌舞伎の名門・中村屋を35年にわたり密着取材するドキュメンタリー・シリーズ『中村屋ファミリー』。 【写真】義父・中村勘三郎さんとの思い出を語る前田愛の写真を見る 12月20日、25作目となる『勘三郎十三回忌特別企画 中村屋ファミリー 父が遺した約束…硫黄島の奇跡』が放送されました。 ファミリーとして大きな成長を遂げたこの一年にカメラが密着取材。番組から、前田愛さんのロングインタビューが到着。未公開分を含む、その談話を紹介します。
<前田愛 インタビュー>
――今年は、中村勘三郎さんの十三回忌となる一年でした。どんな年になりましたか? 思っていた以上に一気に駆け抜けた感があります。何か盛りだくさんの年で、ひとつ終わったら次、ひとつ終わったら次って。主人(中村勘九郎さん)たちは、もっとせわしなかったでしょうけど。 日々、お客さまがやさしい言葉をかけてくださったり、伝えてくださったり…そういうときには、主人と「お父さんって、愛されてるね」というような話を、よくしました。 普段、義父がいつも見てくださっていると感じるのですが、今年はより強く感じましたね。 ――2月、中村勘三郎さんを偲ぶ追善興行「猿若祭二月大歌舞伎」では、(長男・中村)勘太郎さんが「猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)」で猿若を演じました。 「やらせていただけるんだ」「大丈夫かな」という心配は、いつでもあるのですが、初めて勘太郎が不安そうな顔をして、出演の話を聞いていたのが印象に残っています。 いつもなら「お芝居に出られる」と、胸躍る、顔がほころんじゃうみたいな感じなんですけど、今回はすごく怖そうな、おびえた顔をしていました。 私には、稽古が始まるまではずっと「怖い、怖い」って。主人は「大丈夫だよ」というふうなことを言っていたのは聞いていますけど、特に何か話していたようなことはなかったかな。 それでも、お稽古が始まったら、覚悟を決めたというか。本人に「もう、やるしかない」という感じが出てきて、毎日励んでいました。 ――(叔父である)中村七之助さんとの共演となりました。 おじじ(七之助さん)がいてくれたから、安心して舞台に出られたんだろうなというのは、見ていて思いました。私も、全然心持ちが違うというか。 「(七之助さんが)一緒にいてくれるから、何かがあっても大丈夫だから」と言える、心強さが本当にありがたかったんです。 (七之助さんが)嬉しそうだった?何でも、そうやって喜んでくださるのも、勘太郎にとってはすごくありがたいことだと思いますし、本当に良い経験をさせていただいたと思っています。