前田愛「やさしい言葉しか…本当にやさしくしていただきました」義父・中村勘三郎さんとの思い出に涙『中村屋ファミリー』インタビュー
3年前に「連獅子」を演じた勘太郎は、長三郎をどう見ていた?
――そして、(次男・中村)長三郎さんは「連獅子」に挑みました。 「連獅子」をやると聞いたときは、「よしきた!やってやる」みたいな、もうその時点ですでに仔獅子みたいな…勢いと熱意がすごくありました。 最初に稽古したのは、2020年のコロナのときだったので、少しは覚えてるのかなと思ったんですけど、もう見事に忘れていて(笑)。 確かに、4年も前で小さかったから、そうかと。でも、みんなで「こんなに見事に、忘れられるんだ…」って言いながら。 それでも、お稽古し始めたら、そのとき教えてもらったことが生きてくるし、支えになって、どんどん吸収していく感じが頼もしかったです。 長三郎は、自分の勢いをエネルギーに変えていく力がすごいんです。 主人が言うには「ギアが、最初からトップなんだ」って。ガンって入っちゃうみたい。勘太郎は、だんだんスピード、勢いが増していくタイプなんです。 ――3年前に「連獅子」を演じた勘太郎さんは、長三郎さんをどんなふうに見ていたのでしょうか? すごく心配していましたし、振りを一緒におさらいしてくれたり、とても頼もしかったです。たくさん助けてくれました。 「ここがうまくいってないよ」とか、そういうことも伝えてくれたり。(長三郎が)素直に聞くんですよ。普段は、絶対に聞かないのに(笑)。 学校のことで、こうした方がいいよとか、先に経験したことを教えてあげても「ふんっ」みたいな感じで、「自分のやり方でやるから」という感じなのに、稽古のことに関しては「はい、はい」って聞いていて。 「ここは、どうやってやるの?」と質問したり、素直にアドバイスを受け入れていましたね。
息子たちの日々は、食事、宿題、舞台…と、パズルのよう
――春から新学期が始まって…舞台と学業と両立は難しかったですか? 「時間配分」を考えるという段階になってきたのかなと。 今までは、言われたことをやるだけで済んでいたんですけど、だんだん優先順位を考えて、稽古なら稽古、テストがあるならテスト…というのを、誰かに言われてやるんじゃなくて、自分で考えられるように。 学生の間は、この状況がこれからも続いていくわけですから、「自分の中でうまくやらないとね」という話はしています。それに関して「こちらができることは、何でもするからね」と。 実際には、移動中に「今日は、これやっておかないとね」とか言いながら、食事、宿題、舞台…と、まるでパズルのようです。 だいぶ成長したなと思いますけど、失敗をしながら、少しずつ自分がやりやすい方法を見つけられたらいいんじゃないかと思っています。