「止まれ」の停止線で止まれば違反じゃないけど安全でもない! 事故を防ぐために重要な「多段階停止」とは
一時停止のあとにもう1度止まるべし!
意外にあいまいな操作で済ませがちなのが、一時停止ではないだろうか。 運転者本人が、かなり速度を落とすことで、停止と同じ安全確認ができると考えている場合、タイヤの回転が完全に停止する、本当の意味での一時停止にならないうちに、発進してしまうことがあるようだ。 【画像】じつは乗用車が入るだけでも違反となる高速道路のとある場所 しかしそれでは、実際には一時停止違反になってしまう。 一方、道路上の停止線で一時停止しても、左右の安全を確認しきれない道路環境がある。あるというより、そういった一発で確認できない道路条件が実際はほとんどかもしれない。 こうした道路環境もあり、停止線で停止しても安全確認できないので、ゆっくり走りながら素早く左右を確認するという運転になってしまいがちなのだろう。 こういった不便な停止線だが、そのような停止線の設け方になるのには理由がある。 停止線は、走っているクルマを十分な見通しを確保しながら視認できること/横断歩道がある場合は、その2メートル手前に設けること/交差する道路から右左折するクルマがある場合に支障を与えない位置にすること/道路の中心線に対し直角に線を引くことと、国土交通省は定めている。 以上の4つの項目を守ると、どうしても交差点間際に停止線を設けることができず、それによって一時停止しても、クルマの運転席からはボンネットの長さ分もあるため、交差する道路の状況を確認しきれない場合が生じる。 そこで提唱されるのが、「多段階一時停止」と呼ばれる安全確認の仕方だ。 まず、停止線にあわせて一旦停止する(これで一時停止したことになる)。次に、ゆっくり、少しだけクルマを前進させて止まり、交差する道路を走るクルマへ、自分のクルマがそこにいることを知らせる。そして、もう少し前へ出ると、運転席から交差する道路の交通状況を目視できるようになるので、そこで3度目の停止をして、安全を確認する。 これを励行することで、停止線での一時停止を確実に果たし、そのうえで、安全を自分の目で確認して交差点を通過したり、先の道路へ合流を果たしたり、安全にできることになる。 じつは、多段階一時停止などとあえていわなくても、普段の運転でそのように安全確認をしている運転者は多いのではないか。ただ、自分の目で確認する前の、停止線で一旦停止という点が、実効性を認識しにくいため、省かれている場合もあるだろう。 交通安全の規則を守りながら、実際の安全確保を確実にするため、「多段階一時停止」という言葉を覚えておくのはいいかもしれない。
御堀直嗣