自転車に乗れないアラフィフが「超有能に見えて驚くほど無能」な女性に救われた理由
最高! 最強!「見かけ倒しの女」
そんな筆者に元気を与えてくれたのが、2019年から「Kiss」で連載されているはんざき朝未さんの漫画『無能の鷹』である。これは超絶デキる女に「見える」鷹野ツメ子を主人公としたお仕事漫画。就活のときにもう一人の主人公の鶸田(ひわだ)が鷹野に出会うところから物語は始まる。クールな着こなしにルックス、すっとした姿勢、ハキハキした話し方。「彼女はきっと内定取るな」と鶸田は思い、実際そうなるのだが――。 彼女はこれ以上にないほどの「見かけ倒し」だったのである。 タイトルの『無能の鷹』は無能の鷹野、のという意味だったのだ。 鶸田曰く、「鷹野は1年半で、社内ニートになった」と言う。 ホチキス止めはできるが、社内では「出来の悪い小学生に教えてるみたいだ」と上長がため息をついている。グラフ作成(の演習)も鷹野は悪びれず「絶望的状況です」と首を振る。 「何がわからないのかが、わからない」そう開き直る鷹野。 「じゃあそのデキる人オーラは何なんだよ!?」 と思わず叫ぶ上司に対し、鷹野はデキそうな見た目で言うのだ。 「――ただ昔から、お仕事ドラマが好きだっただけ」 どうやら、我々のイメージでいうところの『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』の菜々緒などを見て、ヒールで闊歩する「見た目」を鍛えていたようなのだ。面接では「人間の出来はひと目見ればわかる」と見た目で通った。この会社が人物重視路線に変更していて、筆記試験がなかったことが勝因らしい。 しかし、このままでは辞めさせられるかもしれない。 実はコミュ障で、緊張するとすぐにお腹を下す鶸田は、クビにされそうな同期を見捨てておけない気持ちと、ひとりだと心もとない理由で、鷹野と一緒に組んで契約を取りに行くことを決意する。 そこで、「見た目超デキる女」の鷹野は、実は本人の知らない所で激烈に活躍する。 ここからは内容については差し控えるが、その活躍が、ただ偶然の産物ではないのがミソだ。