イスラエルとヒズボラ、停戦後も非難応酬 合意の脆弱性浮き彫り
[ベイルート 28日 ロイター] - イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラが、互いに停戦合意違反を非難し合っている。 イスラエルとレバノンの武装組織ヒズボラの間では前日、「攻撃的な軍事作戦」を禁止する停戦合意が発効したばかり。こうした非難の応酬は米国とフランスが仲介した停戦合意の脆弱性を浮き彫りにした。 イスラエルは停戦合意後の28日にも空爆を行った。レバノン治安筋と地元メディア報道によると、空爆はリタニ川北のベイサリヤ付近で行われたという。 イスラエル軍は、停戦合意の条件に違反し脅威となる疑わしい活動をいくつか特定したとの声明を発表。「合意からのいかなる逸脱も、厳しく処罰されるだろう」(ハレビ参謀総長)とした。 イスラエルのネタニヤフ首相はチャンネル14とのインタビューで、停戦協定が破られた場合の激しい戦闘に備えるよう軍に指示したことを明らかにした。 レバノンの治安筋と国営メディアによると、イスラエル軍はこれより先、レバノン南部の6地区を戦車で砲撃した。同日に「容疑者」が車などで南部の複数の地域に入ったと述べた。ヒズボラによる停戦合意違反があったと主張している。 一方、ヒズボラのハッサン・ファドララ議員は、イスラエル側が違反していると指摘。「イスラエルの敵は国境の村に戻る人々を攻撃している。今日もイスラエルによる違反行為がこのような形で行われている」とした。 イスラエル軍の戦車が砲撃した地区は国境から2キロ以内に位置するマルカバ、ワザニ、クファルチョウバ、キヤム、タイベのほか、マルジャユン周辺の農業地帯。治安筋によると、マルカバでは2人が負傷した。 イスラエル軍は停戦発効後もレバノン領内の国境沿いの町に駐留しており、28日午前には国境沿いの町の住民に対し、安全のため、まだ帰還しないよう指示していた。 停戦合意では、イスラエル軍がレバノン南部から撤退するのに最大60日かかる。イスラエルのネタニヤフ首相は、国境付近の村に住民を帰還させないよう軍に指示したことを明らかにしている。 レバノンのベリ国会議長は27日、住民の帰還は可能だと述べていた。 ヒズボラは、イスラエル軍のレバノンからの撤退を「引き金に手をかけたまま」監視すると表明している。