40歳手前からサンバを開始 51歳の大学教員がボディコンテストで魅せたしなやかボディ
ゴールドジム主催の誰でも出場可能なボディコンテスト「マッスルゲート」の関東大会が11月4日(月/祝)に千葉・市川市文化会館で開催された。身体の美しさだけでなく、姿勢やヘアスタイル、メイクやコスチュームまでのトータルビューティーを競い合う、ドリームモデルの163cm以下級と50歳以上にダブルエントリーした伊藤布佐子(いとう・ふさこ/51)さんは、サンバの本場であるリオデジャネイロでカーニバルにも出場経験のある異色の経歴の持ち主。 【写真】伊藤さんのサンバ仕込みのしなやかボディ
「サンバつながりで、様々なアーティストのバックダンサーもやらせていただきました。私自身、運動経験は全くなかったのですが、40歳手前から始めたサンバでこんな素敵なコンテストにも出場できて本当にうれしいです」 2010年から始めたサンバのパフォーマンスアップが目的でゴールドジムに通い始めたという伊藤さん。 しかし翌年、思わぬ交通事故に見舞われ大怪我を負ってしまい、車椅子生活を余儀なくされてしまう。 「実はサンバには様々な歴史や思いが込められており、その一つに心も身体も健康にするという意味があります。実はそれまでに私生活で非常に苦しいことがたくさんあったのですが、やっと解放されて自分のやりたいことが見つかった矢先の事故だったので、本当に落ち込みました」 今大会もエントリー前日に後遺症である右半身の麻痺が発症し、激しく転倒。松葉杖での生活を強いられることになり、出場を諦めかけたという。これまでは麻痺が起こると恐怖心から何もできなくなっていたというが、今は何事も前向きに捉えられる心の健康を手に入れたからこそ出場できたと話してくれた。 「ゴールドジム南船橋の安原拓哉トレーナーが本当に親身になってくださり、たった1カ月程度で体重5kg減、体脂肪率約10%減の理想的な身体に導いてくださいました。私生活で苦しい思いを経験した私の人生にいつも寄り添ってくださり、心も健康に導いていただいたので、まだまだ恩を返していかないといけないと感じています」 結果を残すため、そして何よりも心と身体の健康を手に入れて前向きになれたことから、2週間後の北陸大会、そして12月のジャパンカップにもエントリー。 「東日本大震災をきっかけに、各地でボランティア活動をしているのですが、今年の元日に発生した能登震災のときには、メンタルバランスを崩しており、大災害にも関わらず何も手を差し伸べられなかった自責の念が今でも残っています。北陸大会後は、現地のボランティアスタッフとしての活動も行います。またボランティアができる心身の状態に戻ることができたのも、マッスルゲートという目標の舞台があったからこそだと感じています」 痛みや苦しみを誰よりも知りながら、決して後ろを振り返らない伊藤さん。現在はその経験を活かして大学教員として保育者の育成にも力を入れている。サンバや筋トレ、そして二人三脚で歩んできたトレーナーから多くの活力をもらい、その活力を今後は職場のみならずステージ上からも多くの人に届けたいと願う。 「地方自治体と協力してサンバのイベント企画も考えています。その先駆けとして、船橋で筋肉×サンバのイベントを開催することも決まりました。ポテンシャルの高い素敵な人に出会えるのも筋トレやコンテストの醍醐味だと思うので、サンバも交えて一人でも多くの人に活力と出会いを届けていきたいと思います」
【マッスルゲートアンチドーピング活動】 マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:林健太 撮影:中島康介