GENDA申真衣 計画通りな人生の「幸せの限界」を教えてくれる本
30代でゴールドマン・サックス証券を辞めて起業し、アミューズメント施設「GiGO」などを運営するエンタメ企業・GENDA(ジェンダ)の社長を務める申真衣さん。創業5年で東証グロースに上場し、急成長を遂げる傍ら、女性誌のファッションモデルとしても活躍してきた2児の母でもある。計画的に動いてやりたいことを手に入れてきたように見える申さんだが、自身の経験から「ゴールから逆算して歩む人生には限界がある」と言う。自分らしく、自分の生きたい人生を歩むために、モチベーションを鼓舞し、「人生をエンパワー」してくれる2冊の本を教えてもらった。 【関連画像】「何が幸せかなんて、本当は人によって違うはず」 ●「松岡陽子」という再現性のない生き方 プロテニス選手を目指して渡米後、ロボット工学者に転身して、現在はパナソニックの執行役員を務める“ヨーキー松岡”こと松岡陽子さん。以前、対談をさせていただいたのをきっかけに読んだのが、松岡さんの著書『選択できる未来をつくる 』(東洋経済新報社)です。 この本を読むと、「松岡さんの人生は全く再現性がない!」と思えるほど、突き抜けた人生を歩まれていることに感動します。 松岡さんほどやりたいことがたくさんある人は、世の中を見渡してもそうそういません。やりたいことを見つけたら、まずはそこに行ってみる。そうすることで道が一気に開けてくる――。「計算しない」ことから生まれる可能性を、松岡さんは自身の人生を通して教えてくれます。 日本で働く女性たちは、「人生プランを逆算して考える」人が少なくありません。何歳で子どもを産みたいから何歳で結婚して、仕事は何歳までにこういう状況を作りたいから今はこれをやっている…そんな話をよく聞きます。 でも、私の経験からしても、計画通りに事が運ぶなんてほとんどありません。それに、逆算して考える人の多くは、「自分の考えが変わる」ということを考慮に入れていないものです。 ●世の中の「最適解」が幸せとは限らない 最近、大学生の子たちと話していて思ったことがあります。学生から社会人になるときって、価値観が大きく変わるタイミングのはず。それなのに、「これが幸せの最適解」と構築したイメージから、なかなか抜け出せない子が多いんです。 彼・彼女らにとって「最適解」から少しでも外れてしまうことは「リスク」であり、そこから外れた生き方はしたくない。だから、「逆算」した計画的な人生を歩もうとする。 色々なことを妥協すれば、全て計画通りに着地させることはできるかもしれません。でも、計画通りの人生は選択肢を狭めるだけでなく、そもそも「自分自身の幸せ」に心が向いてないように思います。 もしかしたらそれはSNSの影響かもしれませんが、「世の中でいいといわれるもの」「すてきなロールモデル」に一歩ずつ自分を合わせていく人生になってしまっている。 こう言うと失礼になるかもしれませんが、松岡さんは社会の「最適解」を全く見ていないんです(笑)。自分の中にだけ最適解を持っている。だから、突き抜けた人生を歩めているのだと思います。ノープランで導かれるがまま進んだ先に、何かがあるかもしれない――松岡さんの本は、そんなことを思い出させてくれると思います。 もう1冊、1人の人として、すてきな人生の歩み方をしている女性の本があります。