最悪の場合は歯が折れる⁈専門家が教える「睡眠中の食いしばり」の原因と危険性
自分では気づきにくい睡眠中の食いしばり。放っておくとさまざまな健康トラブルを引き起こします。最悪の場合、歯が折れてしまうこともあるとご存じでしたか? 【画像】最悪の場合は歯が折れる⁈専門家が教える「睡眠中の食いしばり」の原因と危険性 睡眠中の食いしばりの原因、放置してはいけない理由や受診の目安などについて、歯学博士号を持つ矯正歯科の専門家、千葉センシティ矯正歯科院長の石川宗理氏に聞きました。
Q.睡眠中の食いしばりはなぜ起こるのでしょうか?
近年の研究で睡眠中の食いしばりは、脳の中で筋肉の運動を制御する大脳が浅い睡眠(ノンレム睡眠)時に何らかの原因で興奮状態になることで、引き起こされると明らかになっています。 ただし、この説は完全には科学的に立証されておらず、議論が分かれるところとなっています。
Q.睡眠中の食いしばりが起きやすい人の特徴などはありますか?
睡眠中の食いしばりは、次のような方に起こりやすいとされています。 ・精神的なストレスが多い ・飲酒、喫煙の頻度が高い ・怒りっぽい性格である ・遺伝的要因がある ・睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害がある また、精神病の薬を飲んでいる方の副作用としても起こります。 食いしばりがどのような人に起きやすいかは、世界的に様々な論議がなされています。論文によっては、女性・既婚者・コーヒーを多く飲む方に多いといった記述もあります。
Q.睡眠中の食いしばりを放置すると、どのようなトラブルが起こりますか?
睡眠中の食いしばりを放置し、長期間継続することで ・歯自体に過度な力が入り、亀裂が入ったりすり減ったりする ・歯に入ったひびや亀裂から、刺激が伝達し知覚過敏になる ・最悪の場合歯が折れる ・歯の周りの組織にも過度の力がかかり、歯が揺れたり歯周病が悪化したりする ・顎(あご)の骨にも力が伝達し、歯ぐきの骨が盛り上がる(骨隆起⦅こつりゅうき⦆) ・食べ物を噛むときに使う咀嚼筋(そしゃくきん)に痛みが生じたり、頭痛を引き起こしたりする などのトラブルが起こります。
Q.睡眠中の食いしばり改善のためにできるセルフケアはありますか?
睡眠中の食いしばりは原因が様々で「これをすれば絶対に改善する」という方法はありません。しかし上述の「睡眠中の食いしばりが起きやすい人の特徴」の中に、ご自身が当てはまるものがあれば、それらに対するセルフケアが可能です。 例えば、 ・飲酒や喫煙を控える ・精神的ストレスを発散する方法を持つ ・布団や枕を見直し、睡眠の質を上げる ・怒りの感情をコントロールするアンガーマネージメントを身に着ける ・精神病薬を服薬中であれば、主治医と相談して薬を変更する などがいいでしょう。 セルフケアだけではなく、歯科医院を受診してスプリント(マウスピース)を作成したり、睡眠外来で睡眠障害の有無を検査したりするのも重要です。