「嫌がられるセッターに」女子バレー岩崎こよみ(35歳)が、荒木絵里香にいま明かすパリ五輪の真相「あのゲームであの1点が取れていたら…」
五輪でしか感じられない凄み
荒木 ネーションズリーグを戦い抜いて、初めて迎えた五輪。それぞれの試合を振り返りたいのですが、初戦のポーランド戦はどういう気持ちでゲームに入りましたか。 岩崎 最初に選ばれてから15年。時別な思いはありましたが、ネーションズリーグが過酷すぎたのもあり、とにかく五輪を楽しもうと思っていました。観客、会場含めて、このようなところでバレーボールができるのは嬉しいという気持ちが一番大きかったですね。ネーションズリーグではすごく緊張して手が震えたのですが、五輪は比較的落ち着いてできました。1セット目の入りもよかったし、メンタル的にも動きもよかった。しかし相手も必死。目の色も違うし、プレーも違う。 荒木 五輪でしか感じられない凄み、ありますよね。たらればを言っても仕方ないけど、あのゲームであの1点が取れていたらということで思い浮かぶのがこのポーランド戦。4セット目、20点以降、ここを勝ち切れればという際どいところ、どっちに転ぶかというところですごく悔しかった。 岩崎 そこでフルセットにいっていれば、あとの結果が同じだったとしても予選突破できたかもしれないけれど……、しょうがないですよね、結果ですから。 荒木 ポーランド戦を落として迎えた2戦目のブラジルは、ネーションズリーグでは勝った相手でした。 岩崎 真鍋監督も予選で一番カギになる試合と言われていたし、選手も、ポーランド戦では負けたけどそれで終わったわけではないし、切り替えて頑張ろうという感じでした。ネーションズリーグでよかったというイメージをもって入りましたが、パフォーマンスも迫力も全然違った。ネーションズリーグで日本に負けていたからというのもあるのでしょうが、体感的にはポーランド以上に違った。 荒木 気迫というか熱量というか。1点獲るごとに圧がかかってくるのがネット越しでもバンバンに感じられていました。
一発勝負でピークに持ってくる感じは見習いたい
岩崎 もともとブラジルはそういうチームですが、五輪ではその比ではなかった。ネーションズリーグでは私でもブロックでタッチを取れていたけれど、五輪では全然触れず、上から打たれていた。 荒木 高さが違う? 気迫だけじゃなくて? 岩崎 高さが違っていましたね。コースも違う。あんなインナースパイクはなかったのに、Bクイックでもめちゃくちゃ打ってきていた。日本人はネーションズリーグのような長丁場の大会で毎回コンスタントに同じような力をコツコツ出すことに長けていると思うのですが、一発勝負にかける、ピークをもってくる感じは見習いたいですね。どうしたらそんなことができるんだろう。 荒木 そこにメダルを獲っていくチームとの違いを感じます。ネーションズリーグではボロボロと崩れていっていたけど、五輪では崩れなかった。 岩崎 サーブレシーブでも崩れなかった。 荒木 アウトサイドヒッターのアナ・クリスティーナ・デ・ソウザ選手、こんなにパスを頑張ってた? って思ったし、ミドルのブロックがすごくよかった。 岩崎 そうなんですよ。ネーションズリーグの時はライトからの攻撃がすごく決まっていたし、ブラジルにはライトから対角に打つのがいいというデータも出ていたので、五輪でもライトから打たせるプランだったのですが、いざ決まらなくなった時、次のプランがうまく立てられなかったのが反省点です。 荒木 手を読むのが後手後手になってしまった。 岩崎 相手もあれだけ決められれば対策してきますよね……。
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