〈八戸市美術館〉〈八戸ポータルミュージアム はっち〉から広がる、アート&カルチャー【青森でアートを巡る旅へ】
〈八戸ポータルミュージアム はっち〉は〈八戸市美術館〉から徒歩5分ほどのところにある文化交流や観光のための施設。1~3階は観光展示、4階は新しくショップを始める人たちを後押しするチャレンジショップや子育て支援施設、5階はアーティスト・イン・レジデンスのためのエリアだ。1階には地元の工芸や食材を扱うショップもある。地元の人や観光客が八戸のことを知るためのさまざまなものが揃っている。
その向かい側にある〈八戸まちなか広場 マチニワ〉も〈八戸ポータルミュージアム はっち〉が管理している。屋根のある全天候型の半屋外広場は中心街にある公園のような、自由にくつろげる雰囲気だ。1階中央には青森県出身のアートディレクター、森本千絵がデザインした《水の樹》があり、水飲み場もある。テーブルや椅子のほか、次のバスがいつ来るのかが表示されるバスロケーションシステムもあり、バス待ちの間に立ち寄ったり、休憩に来る人も多い。ケータリングカーやコンサートなどのイベントも開かれていて、ここに来ると誰かに会える街のリビングのような場所になっている。
●市営の書店〈八戸ブックセンター〉
〈マチニワ〉を通り抜けると八戸市直営の〈八戸ブックセンター〉がある。今のところ日本唯一の公設公営の書店機能を持つ公共施設だ。書店の減少によって市民の知的好奇心を満たすチャンスが減ってしまっていることに危機感を覚えた八戸市が、2016年に開設した。
〈八戸ブックセンター〉で働いているのは書店に勤めた経験のある人も含めた市の職員だ。選書のプロがセレクトした棚にはいわゆる売れ筋の本は見あたらない。これは民業圧迫を防ぐためでもあるが、通常の書店ではなかなか出合うことのできないけれど面白い本、読んでほしい本を積極的に選んでいる。館内には小さな読書会が開けるスペースやハンモックで読書できるブース、執筆専用の「カンヅメブース」などがあり、本との出合い方は多様だ。棚に並んだ本は自由に手にとって、ハンモックなどで読むことができる。
「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」では徒歩や公共交通機関で、あるいは車で各スポットを巡るモデルコースも用意している。それぞれに個性的な5つの館で青森の奥深さに触れることができる。
photo_Takuya Neda text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano