〈八戸市美術館〉〈八戸ポータルミュージアム はっち〉から広がる、アート&カルチャー【青森でアートを巡る旅へ】
『エンジョイ!アートファーム!!』の参加作家は5名。東方悠平の《自由の像、不自由なバナナ》は私たちが普段よく食べているバナナを通じて自由、不自由を考えるというもの。今、食用として普及しているバナナは品種改良を重ねたもので、野生のバナナとはずいぶん異なる姿をしている。また八戸の隣にある、おいらせ町には自由の女神があり、バナナの栽培も行われている。ここではワークショップなどを通じて自由について語り合い、八戸版の「自由の女神像」を作り上げる予定だ。
しばやまいぬは棟方志功の作品などに感銘を受け、独学で木版画を始めたアーティスト。「アトリエ」をはじめとする館内各所で制作をしている。プロジェクトタイトル中の「くにゅぎの森」は昆虫が集まる「くぬぎ」と「くにゅくにゅ」という擬態語をあわせた造語だ。訪れた人も虫を想像/創造することで新種の虫を作り出せる。その虫がアーティストによって版画に入り込み、新たな生態系が生まれる。
「絵の中から森が出現する、美術館から森が生えてくる。虫の生態系が環境にどんな影響をもたらすのか、虫と環境、世界との関わり、そういったことについて想像が膨らむといいな、と思います」としばやまはいう。
〈八戸市美術館〉
1986年開館、2021年建て替え。設計:西澤徹夫・浅子佳英・森純平。主なコレクションに石橋忠三郎、豊島弘尚、戸村茂樹など。青森県八戸市大字番町10-4。10時~19時。火曜休(4月30日、8月13日、2月11日、2月18日は開館)6月26日、9月2日、2月5日、2月12日、年末年始(12月29日~1月1日)休。『エンジョイ!アートファーム!!』展は2024年9月1日まで。入場無料。7月6日から『tupera tupera のかおてん.』もはじまっている(一般 1,000円ほか、2024年9月1日まで)。公式サイト
●「アートのまちづくり」八戸
八戸市では2011年に開館した〈八戸ポータルミュージアム はっち〉をきっかけとして「アートのまちづくり」の気運が高まった。〈八戸市美術館〉の所管も2011年に教育委員会からまちづくり文化観光部(当時)へと変わっている。