羽田・成田空港へ大きなスーツケース持って移動 鉄道とバスどっちが便利?
「リムジンバス」は「荷物の大きさ」ゆえに選ばれる?
羽田空港や成田空港には、各方面から「リムジンバス」が走っている。比較的運行頻度の高いバスだと、利便性が高いといえる。羽田空港を利用する場合は、首都圏各地の主要駅近くから「リムジンバス」が運行されている。郊外の各地から羽田空港や成田空港に直接向かうことができるため、利用者は多い。 筆者が実際に利用してみると、大きなスーツケースを座席下のトランクスペースに入れている人ばかりである。荷物を持ってロングシートに座り、周りの目を気にするのはつらいのね、と感じる。荷物大きくて重いよね......。 郊外と行き来する「リムジンバス」では、楽に直行できるというのが大きなメリットだ。渋滞などに多少引っかかっても、とにかく着けばいいという考えだと、この交通手段が選ばれる。何かあった場合は、別ルートを使用して行先に向かう。利用する側も、多少遅れることを前提として乗車しているため、細かいことは気にしない。とくに空港からの帰りは、自宅に着ければあとはどうだっていい。 大きい荷物をバスに預けて快適に座っていけるなら、それに越したことはない、というのが「リムジンバス」利用者の本音ではないだろうか。
「速達性と定時性」か「荷物を運ぶのが楽」か
羽田空港アクセスは、鉄道が便利であることは確かだ。羽田空港の利用者の多くが、京急電鉄を利用する。東京モノレールの利用者も多い。速達性も定時性もある。しかし通勤型車両ゆえに、空港から離れるほどスーツケースは邪魔なものとしてほかの人から見られる。車輪があるとはいえ駅の中を運ぶのはしんどいのも、もちろんだ。 品川や浜松町といった接続駅から各方面へ向かう通勤電車に乗り、新宿や池袋、東京といった駅まで移動し、自宅へ帰る列車に乗る。そのあたりの面倒くささが、「リムジンバス」を選ばせているのかもしれない。 いっぽう成田空港は、以前から「リムジンバス」が便利な空港だった。東京都心部を中心に、各方面からバスが運行されていた。空港アクセス列車が「スカイライナー」しかない時代もあったのだ。 現在では「成田エクスプレス」「スカイライナー」が多くの人に利用され、空港へのバスも盛況だ。ただ、コロナ禍の中で運休したバス路線もあり、それが十分に復活していないところもある。そのあたりは、「成田エクスプレス」が山手線内主要駅に停車していることで補っているといえる。 鉄道は速達性と定時性、バスは荷物を運ぶのが楽というメリットがあり、それぞれ空港アクセスで選ばれているといえるだろう。とくに「大きなスーツケース」を持つ場合、どちらを重視するかはシビアな問題になるのでは。(小林拓矢) 筆者プロフィール こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。