『特捜部は大きなミス』と指摘した元東京地検特捜部の検事「5~6億円とびっくりする金額で世の中にアピール優先したとしか思えない」選択しなかった別の戦略とは【自民党 派閥 裏金事件 MBSニュース解説】
――東京地検特捜部は1月19日に自民党の裏金事件について刑事処分を発表しました。起訴された人と起訴されない人、略式と在宅の”線引き”など、詳しい話について、元東京地検特捜部の検事だった郷原信郎弁護士に伺いますと、今回の捜査について2つポイントを挙げています。 【解説動画】元特捜部検事「みんながなんで怒ってるか、事件を『脱税』で払わせる方向で持っていくことも…」
郷原氏のポイント「東京地検特捜部は①大きなミスをした。②取引的決着に持ち込もうとしている」
(郷原信郎弁護士)結局、裏金の総額が5億とか6億円とか、みんながびっくりするような金額を世の中にアピールすることを優先していたとしか思えないんです。いろんな捜査の方法はあるんですが、今回の捜査は、収支報告書の虚偽記入を前提にやってきたじゃないですか。その方向だけじゃなく、他のやり方もあったんです。 例えば「政治家個人は、(金銭の)寄付を受けてはいけない」という禁止規定、罰則があるんです。もし事実がはっきりすれば公民権停止になるような罪なんですけど、法定刑が低いんですよ、禁錮1年以下。ですから、それでやろうとすると時効3年なので、刑事立件できる裏金の総額が小さくなっちゃうんですね。ですから、そっち方向を考えないで、全体を大きくする方向で考えていったのが今回の特捜部のやり方。 でも結局ですね、裏金をもらった議員を処罰しようと思っても、国会議員には財布がいくつもあるわけです。・資金管理団体、・政党支部、・その他の政治団体もある。裏金って結局、どこの収支報告書にも『記載しないのが前提』ですから、どの団体の収支報告書に記載しなければいけないのか、っていうことを特定できなくて、特定できない限りは、処罰的な起訴できないんですよ。
郷原弁護士「逮捕された池田議員は『自爆した』」
(郷原信郎弁護士)たまたま今回逮捕された池田佳隆衆院議員は、資金管理団体で収支報告書を訂正したんです。『自分で特定したので自爆した』わけです。自爆してくれない限りは、他の議員のケースはなかなか刑事立件が難しい。谷川弥一衆院議員も結局認めるって言ってるから「略式起訴」ですけども、大野泰正参院議員は「在宅起訴」ということは、おそらく認めてないからですね。