「結局は守備の不安定さ」。OB・福西崇史が語るジュビロ磐田J2降格の要因
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 第117回のテーマはジュビロ磐田のシーズンレビュー後編。シーズンを通して攻守に安定感を欠いた理由をOB・福西崇史が解説する。 * * * ■エースが対策されて攻め手を失った ――厳しい前半戦となったジュビロ磐田は16位で折り返しました。後半戦のスタートとなる第20節・東京ヴェルディ戦は3-0と快勝でした。 福西 後半戦の入りは良かったと思います。ただ、それ以降は6戦3分3敗と続きませんでしたよね。とくに第21節・浦和レッズ戦は完敗だったと思います。 相手にプレッシャーに来られた時に、個人でもチームとしてもどうにかすることができず、受け身になってしまいました。第23節・湘南ベルマーレ戦は、前半にリカルド・グラッサが退場となって厳しい状況で5-0の大敗となりましたが、このあたりには磐田は研究されてきていました。 対策されたあとに、どう打開するかというのが、なかなか見えてこなかったことが難しい状況になってしまったと思います。 ――FWジャーメイン良選手も怪我から復帰してから思うように調子が上がらなかったですか? 福西 ジャーメインのコンディションがなかなか上がらなかったこともあるとは思いますが、前半戦にあれだけ得点を取っていれば研究されるのは当然ですよね。それは磐田もわかっていたと思います。 ジャーメインが抑えられたときにどうするかとなったときに、中盤の選手が前に出て厚みを加えるのか。でもそうなると空いた後ろのスペースを使われてしまって、相手にうまくやられてしまったところはあると思います。 ■試行錯誤も安定感は見出せず ――第26節・鹿島アントラーズ戦では、これまでの4-4-2から4-1-4-1システムにしたり、後半の交代策が功を奏して逆転勝利しました。 福西 鹿島戦は試行錯誤しながら結果が出た試合だったと思いますね。MFレオ・ゴメスをアンカーで使って、DFハッサン・ヒルもこの試合から出場するようになりました。中盤や守備全体の安定感を模索しているというのはすごく感じました。 ――しかし、次のFC町田ゼルビア戦で0-4と大敗して続きませんでした。 福西 その次の北海道コンサドーレ札幌にも負けて、チームとして不安になりますよね。前半戦でもそうでしたが、結果がついてこないと攻撃も守備もなにかを変えなければとなってしまいます。 そこで変えることで、例えば攻撃の立ち位置とか、リズムが必ず変わってきます。それがハマったときはいいですが、安定感という面ではチーム全体で対応し切れず、戸惑いはあったのかなと。逆に相手に対応されてしまったように見えました。そういったところにもチーム力の差というのが見て取れたと思います。