<リベリア ~ パーム油と百姓一揆> 拘束された従業員たち
「食べるものも水もない、なんとかしてくれ!」 留置場に脚を踏み入れると、4畳半ほどの狭い牢屋につめこまれた15人ほどの若者たちが口々に叫び出した。僕らが外国人だから、なんとかしてもらえるかと期待をだいたのだろう。あたりに充満する汗とし尿の混ざったような悪臭が鼻をつく。 彼らはみな、農場での暴動の容疑で拘束されていたが、腑に落ちないことがあった。彼らの多くが農場の従業員だということだ。農場で働いている人間が、職を失うリスクを負ってまで暴動に参加するものだろうか? 「俺たちは暴動に加担してない!」 無実を訴える男たちも少なくない。彼らが嘘をついているのか、それとも、農場と警察側が、やみくもに村の若い男たちを逮捕したのだろうか? 法律では拘束から48時間以内に告訴されなければ釈放されるはずだが、ここは法よりも権力が支配するリベリアだ。残念ながら彼らが家に戻れるまでには時間がかかるだろう。 「早く農場に帰って仕事に戻りたいよ。俺が働かなきゃ家族が飢えてしまうんだ」 檻を握り締めながら、エルファンゾという若者が顔を歪めて訴えた。(2015年5月) (フォトジャーナリスト・高橋邦典)