異国の店主と土地の味/キューバ料理店『キューバサンド&デリ アイナマ』Vol.28
各地のローカルな風を届けてくれる東京近郊の外国料理店の店主を、 料理家の土井光さんと巡るコラム。
土井光(以下、土井) キューバの国旗と同じブルーとレッドの色合わせが目を引く、素敵なお店ですね……! いつオープンされたんですか? おいしいもの研究所別館
ロベルト・ミロ・ルアセス(以下、ロベルト) 2020年です。その前に、キューバ料理のレストランを2012年から3店舗ほど経営していたのですが、当時からキューバサンドが人気だったんです。それで、レストランをすべて閉業した後にキューバサンドの専門店を始めました。
土井 キューバサンドと聞くと、映画の『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の印象が強いです。パンの表面にバターを塗りながら鉄板で焼くキューバサンドがとにかく美味しそうだなあって。
ロベルト 実は、その映画の日本でのプロモーションに私も携わっていたんですよ。映画が日本で公開した2015年に配給会社とコラボレーションして、フードトラックで代々木公園のフェスに出店したりね。でも、その時期にキューバサンド専門店をオープンしても、ブームが去ったときにきっと飽きられるだろうと思い、お店のスタートはまだ我慢。公開から時間も経ち、テイクアウト商品の需要が高まったコロナ禍のタイミングで、今だと思ってオープンしたんです。
土井 賢い……! 時代の流れの影響は想像以上に大きいですもんね。ここのキューバサンドは映画で観たものと違って、しっかり肉厚だけど斜めにカットされてスタイリッシュな雰囲気がありますね。
ロベルト 映画のはアメリカンスタイルなので、中身も違います。本場のキューバでは、猛暑だから野菜を入れないのですが、アメリカバージョンはピクルスが入っていたり。
土井 キューバサンドって、本場では主食になるんですか?
ロベルト 主食はライスで、サンドは軽食という感じ。うちでもメニューにある、ライスにお肉をのせて食べるメガ丼は本場でもポピュラーですよ。
土井 たしかに、サンドにはお肉が入っていても軽々と食べられちゃうし、グアバペースト入りのスイーツ系メニューはおやつ感覚で楽しめますね。味付けにジャンクさは一切なく、あっさりとしていてむしろヘルシーに感じます。