異国の店主と土地の味/キューバ料理店『キューバサンド&デリ アイナマ』Vol.28
ロベルト 食材は無添加にこだわっていて、近隣に住む子連れのファミリーからお年寄りもよく食べに来てくれますよ。上野のみなさんは優しくあたたかい方ばかりで居心地がいいんです。おかげさまで、私も初めてのお客さんにもまるで知り合いのように話しかけて、常にオープンマインドで接客することができています。
土井 そういえば、ロベルトさんは日本語がとてもお上手ですが、いつから日本にいらっしゃるんですか?
ロベルト 2001年に来日したから、在住歴はもう23年。私は8歳からサルサダンスをしていたんですけど、ダンスの先生をしている頃に日本に来る機会があって、はじめは3ヶ月のつもりが日本が気に入って住むことになって。2010年まで浅草でサルサダンス教室を開いていました。
土井 かっこいいですね! ロベルトさんのダンス、見てみたいです。でも、なぜそこからお料理の道へ?
ロベルト ある程度年齢を重ねたら、いつか飲食店をやりたいと小さい頃から思っていたんです。でも、料理の仕方とかレシピは全く知らなかったから、「あれってどうやって作るの?」って両親に電話で聞いて特訓しました(笑)。
土井 それにしても、ダンサーさんだったとは凄い経歴ですね。私がフランスに住んでいた頃に習っていたヨガの先生もキューバ人だったのですが、優しい人だけれど、とても厳しい方で。うまくできないと、「やる気ないなら日本に帰れっ!」って言われたことも(笑)。
ロベルト キューバ人の国民性ですね。何事も、やるかやらないか。できないと言うくらいならやめればいい。日本みたいに曖昧な返事は絶対になくて、みんな白か黒かはっきりしていますね。私も仕事に対しては常にそういうストイックな姿勢ですよ。
土井 そうなると、曖昧な事柄が多い日本に来て戸惑うことが多かったんじゃないですか?
ロベルト 最初はそうでしたね。だから、誰かに雇われるよりも自分で会社を作って働こうと思った。でも、ちょこちょこアルバイトもしてるんですよ。『いきなりステーキ』とか、インターナショナルスクールの昼食弁当のデリバリーとか。今は、東京都内を走れるゴーカートを観光客向けに貸し出すストリートカート会社で働いています!