Z世代は知らないあの頃の日本がここに…『踊る大捜査線』から感じる古き良き“平成の香り”
“踊るプロジェクト”映画最新作の公開に合わせて、再び『踊る大捜査線』シリーズが盛り上がりを見せている。TverやFODではドラマシリーズが配信され、9月28日からは映画過去作の地上波一挙放送も始まった。この機会に改めて同シリーズを見返し、作品から溢れ出る“平成感”に懐かしい気持ちになっている人は多いのではないだろうか。スマホはおろか、まだ携帯電話もあまり普及していなかった時代──そんな古き良き平成の香りを、今を生きるZ世代にこそ感じてもらたい、と改めて作品の魅力を紹介したい。 【関連写真】当時50歳ながら圧倒的若さ、古畑任三郎(第1シリーズ)の田村正和 『踊る大捜査線』シリーズをざっくりと説明すると、脱サラして警察官になった主人公・青島俊作が、理想の刑事と所轄の現実との狭間で悪戦苦闘しながらも成長していくお話。「空き地署」と揶揄される湾岸署に配属された青島刑事が、元営業マンのスキルを活かして事件解決に導いたり、警察の組織としての諸問題に振り回されたりしていく。 ところで物語の主な舞台となる「湾岸署」は港区の台場にあるという設定なのだが、ここが「空き地署」と呼ばれているのがまず時代を感じるポイント。現在は東京臨海副都心としてさまざまな商業施設などで栄えているものの、ドラマがスタートした1997年当時は空き地ばかりのところだったので、「空き地署」と呼ばれているのだ。 そう、これはまだお台場が空き地ばかりだった時代の物語。他にも同ドラマには、平成ならではの描写がふんだんに散りばめられている。 まず“煙草”に関する描写がいかにも平成で、主人公の青島も当たり前のように職場のデスクで煙草を吸う。歩き煙草も日常茶飯事で、飲食店も分煙化されておらずおもむろに煙草を吸い出す。分煙化が進んだ現在では考えられないが、当時はそれほど喫煙者が自由な時代だった。 また登場人物たちの“連絡手段”も時代を感じるものばかり。例えば青島はよく謎の通信機器で上司から呼び出されているが、あれは「ポケベル」という古代の通信機器だ。そして当時普及し始めた携帯電話も一応は登場するものの、何やらアンテナを伸ばしてから電話に出る描写が。携帯を使用する前に意味があるかどうかわからないアンテナをとりあえず伸ばすという儀式も、現代では見られなくなった光景だろう。