「ChatGPTの授業活用」教師が意識すべき3つの問い 英作文と総合探究の事例に見る「生成AIの利点」
「総合的な探究の時間」のサポートに活用
私は、学校全体の「総合的な探究の時間」を計画・実施する立場にもあるので、生徒たちがグループで探究活動を行う際にも生成AIを取り入れています。 勤務校の総合的な探究の時間では、「地元」に関連した探究課題を設定して探究活動に取り組むのですが、今年度、私は「探究活動を進めていく中で困ったことがあれば、生成AIに相談するのも1つの手だよ」と生徒たちに伝え、生成AIの使い方を紹介しました。 あくまでも探究活動をサポートするツールの1つという位置づけで、強制していません。そのため、2~3割程度のグループが使用しているような状況です。しかし、実際に使用している生徒たちは、本当にさまざまな疑問や相談を生成AIに投げかけています。 例えば、地域の課題について「人口が減少している原因は?」と尋ねたり、探究活動の方法について「地域の方にアンケートを取りたいのですが、どこで実施したらいいですか?」と相談したりしています。 そうした生徒たちの活用において印象的だったのは、生成AIの出力結果を「考えるための材料」として使っているということ。出力結果を見て、「賢いなぁ! そうか、その手があったか」「この観点で掘り下げたらもっとおもしろくなりそう」とグループ内で話し合っているのです。
授業での生成AI活用、「教師が意識すべき3つの問い」
このように生成AIを積極的に活用している私ですが、生徒たちが生成AIを使うことに対して、「心配がない」と言ったら嘘になります。そのため、私は生徒たちの様子を見ながら、次の3つの問いを意識して指導しています。 1つ目の問いは、「生成AIの出力は本当に正しいか」ということ。やはり生成AIを使っていくうえで、誤った情報を出力する恐れがあることは避けられません。生徒たちが出力結果を批判的に見ることができるように、「生成AIは一般的な話をしているけど、これって本当に地元にも同じことが言えるのかな?」「辞書でも確認してみよう」などと働きかけ、支援しています。 2つ目の問いは、「生成AIの出力が伝えていることは何か」ということ。出力結果を見て、わかったつもりになっていることもよくあるので、「この言葉はどういう意味?」「つまりどういうこと?」と教師が問いかけ、生徒たちが考える時間を取ることも大切です。 そして3つ目の問いは、「生成AIの出力にない視点はほかにないか」ということ。「ほかにどんな問題がある?」「この問題なら〇〇って人が取り組んでいるけど知ってる?」といった問いを投げかけ、出力結果以上に視点を広げてあげるのも教師の役割だと考えています。 とくに、生成AIが取り扱うことができない情報も学校での学びには必要で、「ローカルな情報」と結びつけることが大切です。例えば、これまでにどんな学びを経験してきたのか、ほかの教科で今どんなことを学んでいるのか、住んでいる地域の魅力や課題は何かなど、インターネット上にはない、ローカルな情報がたくさんあるはずです。これらを生徒の学びとつなぐことで、学んだ知識が実生活と結びつきます。