映画「きみの色」公開、山田尚子監督インタビュー「大切な感情が生まれる、その『作用』を描きたかった」
3人のほか、新垣結衣ややす子など多彩なキャスティング
──それが、監督の作品が愛されている理由の一つなのでしょうね。主役の3人の声は、オーディションで選ばれた鈴川紗由、高石あかり、木戸大聖さんがあてています。選ばれた理由は何だったのでしょう? 音の心地よさに尽きます。3人とも、持ってらっしゃる声のやさしさがそれぞれのキャラクターにぴったりで、うまくいったと思っています。 ──少し脇のキャラクターに、新垣結衣さん、やす子さんが声の出演をなさってます。このキャスティングは監督の発案ですか? いえ、これはもうプロデュース・サイドのおかげです。新垣さんに演じてもらった、トツ子が通うミッション・スクールのシスターは、一見おとなしいようだけれど、実は強い意志で自分のやりたいことをやってきた人で、新垣さんにはまっていましたし、トツ子の同級生を演じてもらったやす子さんは、音響スタッフが以前から声優として魅力があると言っていたので、実際に出演していただいて、なるほどなあと思いました。 ──この作品が山田監督の原点帰りじゃないかという声があることについては始めにうかがいましたが、脚本の吉田さんや音楽監督の牛尾憲輔さんは山田監督の新しいスタートではないか、という考えを持っておられるようですが。 私からすると、「あ、そう思ってたんですかあ」っていう感じです。吉田さんはこれまでも、山田をなんとか外の世界に押し出したいというか、作品でご一緒する度に「山田さんが飛び立つ作品だと思います」みたいな言い方をしてくださるんです。ありがたいですけど、私自身は毎回無我夢中でやってるだけなので、よくわからないです。 ──最後に、観てくださる人に一言あればお願いします。 リラックスして観てください、ですね。この作品からなにを感じられるかは、皆さんの人生だったり感性だったりによって返ってくるものだと思うので、ともかくリラックスして楽しんでいただければ一番だと思っています。