「家を買おうと思っていなかった人に売れる」…住宅メーカーとファッションブランドのコラボ住宅
住宅メーカーが、ファッションブランドなど異業種とのコラボレーションに注力している。人口減少で販売が伸び悩む中、ファンの多いブランドの魅力を取り入れた注文住宅の販売で新たな需要を掘り起こし、競合と差別化を図る狙いがある。（中西瑛、姫野陽平） 【グラフ】全国の戸建て住宅の新築着工戸数
デザイナー監修やアウトドア仕様
積水ハウスは9月下旬、ファッションブランド「ミナ ペルホネン」とコラボしたモデルハウスを山口市にオープンした。オリジナル生地を使った服作りなどでファンを持つ同ブランドのデザイナー、皆川明氏（57）が監修した。外観や内装にこだわり、室内は真っ白な塗り壁に、同ブランドの生地を張った北欧風家具が並ぶ。ブランドの世界観を表現する間取りとして、皆川氏は「家族の気配を感じる家にした」と話す。居住空間をできるだけ仕切らず、部屋の間の壁には小窓を設けた。
両者のコラボ住宅は東京都に続いて2か所目で、「全く同じ家を建ててほしい」などと好評を得ているという。積水ハウスの原本秀和・業務役員は「住宅性能での差別化が難しくなっており、デザインなどソフト面の競争が激化している」とコラボの背景を明かす。
ユニバーサルホーム（東京）は、コロナ禍で人気が高まったキャンプに着目し、アウトドアブランド「DOD」と組んだ。土間やガレージを備えた住宅を2021年から展開し、「テントの収納スペースなど課題を解決できた」（担当者）という。これまでに九州などで約40軒を販売した。
家具や雑貨が売れる相乗効果
熊本県山鹿市の住宅メーカー「リブワーク」も「ニコアンド」や「アフタヌーンティー」といった服飾・インテリアブランドと住宅を展開している。今年7月には通販大手ベルメゾンとのコラボも発表した。連携の魅力について、難家嘉之執行役員は「家を買おうと思っていなかった人に売れる」と表現する。
従来は住宅展示場でのセールスが主流で、家の購入に向けた検討のために来場する客が対象だった。コラボ住宅では住宅購入を考えていないブランドのファンが来場しており、「潜在的な顧客にアプローチできる」（難家氏）のが強みになっている。来場者が即日購入したケースもあるという。
