衆院選、与党は「政治とカネ」で防戦 石破首相の大義「日本創生」の看板かすむ
石破茂首相（自民党総裁）と公明党の石井啓一代表は15日の第一声で、衆院選は幅広い政策が問われる政権選択選挙だと強調した。だが、自公は公示直前にも「政治とカネ」で墓穴を掘り、野党の批判を許した。首相が大義に掲げた「日本創生」の看板はかすんでいる。 【グラフィックでみる】衆院選、石破茂首相の勝敗ラインは？ ■「懲罰選挙」の色合い濃く 首相は15日、福島県いわき市での第一声で「日本創生のための選挙だ。必ずもう一度新しい日本をつくっていく」と力説した。中露軍機による領空侵犯や北朝鮮の弾道ミサイル発射を挙げて「日本の独立と平和を守ることができるのは自公政権」とも訴えた。 自公での過半数（233議席）獲得に向け、首相交代の熱が冷めないうちに衆院を解散し、経済、安全保障、防災などの重要課題を任せられるのは「自公」か「立憲民主党など野党」かを問いたかった与党。現実には自民派閥パーティー収入不記載事件に対する「懲罰選挙」（自民中堅）の色合いが濃くなり、防戦を強いられている。 ■公明も被弾「自民と共犯」 首相は政策活動費を衆院選で使うか否かに関し、12日の討論会で「現行法制の下では合法だ。抑制的に使う」と述べたものの、批判を受けて13日以降は「選挙には使わない」と軌道修正した。野党からは「（使途公開が不要のため）選挙に使わないと証明できない」（立民の野田佳彦代表）とさらに追及されている。 公明も被弾した。不記載事件に関係して自民が非公認とした前議員2人に推薦を出し、「明らかに（自民と）共犯だ」（野田氏）と非難されている。 賃上げや防衛力強化など岸田文雄前政権の路線の継承に対する賛否も、ほぼ争点化していない。（田中一世）
