アンガールズ・田中卓志「タレントは騒いで楽に稼げると思っていたかつての自分。その裏ですごく努力していたビビる大木さんの姿に今も励まされて」
◆狂気を感じた 僕は始まって20分程で気絶するように寝てしまい、ふと目が覚めたら1時間くらい経っていた。 一方大木さんはまだ眼をギラギラさせながら、3人目の踊り子を食い入るように観ていた。 大木さんのほうがテレビの仕事などで疲れているはずなのに、この集中力。 ただビデオを観ているだけの姿なのに狂気を感じた。 僕は大木さんにスケジュールを渡すことしかできない人間なのに、大木さんを残して寝てしまった。 でもこの集中力なら僕が寝ていたのを気付かれていないかもしれないと思い、そこから平静を装い観続けたけれど、映画が終わったあと「田中寝てただろ? 何で寝たんだ?」とやっぱりバレていた。 僕は「すみません、ちょっと寝てしまいました」と素直に謝った。 以前に大木さんが自分と遊んでいる時に誰かに眠られることをすごく嫌がっていたのを見たので、この場を何とかしようと「これ、3本目もう1回観させてください!」とお願いしたら、「同じものを観るわけないだろ!」と余計怒られた。同じ物語を3回観た人のセリフとは思えなかった。 ※本稿は、『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』(新潮社)の一部を再編集したものです
田中卓志