輝く! 週プレ「やりすぎカー・オブ・ザ・イヤー」2024上半期
今年上半期に取材した話題のモデルの中から、珠玉にも程があるやりすぎカーを選び、勝手に表彰! 選考委員長は日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員で、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏。つうわけで、上半期を代表するクルマをドバッと大放出! 【写真】「脱毛器顔」や「ウナギ顔」と呼ばれるサルーンのフロントマスク * * * ■ベスト3にEV2台がランクイン 渡辺 上半期の1位はホンダの新型EV、ゼロシリーズのサルーンに決定しました。 ――今年1月に米ラスベガスで開催されたCES2024に出展し、3月には東京・青山にあるホンダ本社でメディアに披露されたモデルですね。報道陣からは、「ランボルギーニの名車カウンタックみたい!」という声も。 渡辺 一方、口の悪い専門家たちは「脱毛器風の顔だ」とか「いやいや、ウナギ顔じゃないか?」なんてヒソヒソ話をしていた(笑)。 冗談はさておき、1位に選んだサルーンはゼロシリーズの主力モデルです。26年に北米での発売を皮切りにアジア、欧州、アフリカ、中東、南米と世界展開していく予定です。 ――ホンダは5月16日にも大きな発表をしたそうで? 渡辺 簡単に言うと、EVなどに10兆円の投資をするという話で、ホンダはEVシフトを鮮明にしています。 ――今、世界的に"EV失速"が叫ばれていますが? 渡辺 ホンダは40年までにハイブリッドを含めた内燃機関車の販売をやめると発表済み。ただし、撤退と復帰を繰り返すF1同様、クルマ造りも生産終了と再開を繰り返しています。 この迷走状態を、「ホンダは臨機応変だ!」などと持ち上げる専門家もいますが、このような朝令暮改を続けていたら、言うまでもなく、ファンや消費者の信頼を失ってしまいます。 ――つまり、サルーンが先陣を切る、ホンダの"シン・EV戦略"は最後までやり切るべきであると? 渡辺 当然です。今回、サルーンを1位にした理由は、脱毛器風の顔やはね上げ式ドアのやりすぎ感もありますが、このサルーンが内燃機関を廃止するホンダの象徴となるモデルだからです。加えて世界的にEV失速が叫ばれる中、あえてEV戦略をフル加速させるホンダのやりすぎハートに敬意を込めての1位です。 ――2位はトヨタです。 渡辺 今年1月に開催された東京オートサロン2024にトヨタが出展したセンチュリーGRMN(ガズーレーシング・チューンド・バイ・マイスター・オブ・ニュルブルクリンク)です。 昨年追加されたクロスオーバータイプのセンチュリーをベースにし、走りを磨いたコンセプトモデルです。トヨタのモータースポーツ部門であるGR(ガズーレーシング)の知見や技術が投入されている。 ――誰が見てもやりすぎカーですが、2位の理由は? 渡辺 実はこのセンチュリーGRMNは未発売の幻カー。ツチノコ的モデルともいえ、早く発売してほしいぞという願いを込めての2位です。 ――3位はEV王者のテスラが昨年11月に発売したサイバートラック。"走るチーズおろし器"のような見た目がメディアやSNSで話題になりました。ちなみにテスラは今年に入って販売不振などで逆風にさらされています。 渡辺 そもそもの話をすると、EV本来の目的は、化石燃料の消費量を抑え、地球温暖化の原因になる二酸化炭素の排出量を減らすこと。当然、ボディを軽くコンパクトに造り、モーターや駆動用リチウムイオン電池も小さくする必要がある。 ところが、このサイバートラックというEVは時速100キロ到達2.7秒、車両重量は3t以上です。要はエコを隠れみのにした"掟破りのEVマッスルカー"。そのアウトローにも程があるやりすぎスペックで3位入賞! ■噂の中国EVに続くのは日仏カー