赤ちゃんポスト運営17年 慈恵病院の院長が「いらない いのちはない」と題し講演《長崎》
NIB長崎国際テレビ
いわゆる「赤ちゃんポスト」を導入している熊本市の病院の院長が4日、長崎市で講演しました。 「いらない『いのち』はない」。 子どもの命を守り、母親に寄り添う取り組みを紹介しました。 (慈恵病院 蓮田 健院長) 「一個一個ひも解いてみると事情がある。来ていただいて大事なことは労わないといけないということ。今まで、あなたは相当 苦労してきましたねと」 講演したのは、熊本市で親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」いわゆる赤ちゃんポストを運営している 慈恵病院の蓮田 健院長です。 2007年に日本で初めて赤ちゃんポストを導入し、約17年間で179人が預けられたといいます。 5年前からは、妊婦が匿名のまま 病院で出産できる独自の「内密出産制度」を導入。妊娠や出産を、周囲に知られたくないと願う女性に寄り添ってきました。 講演で蓮田院長は、赤ちゃんポストや内密出産を選択した女性のほぼ全員に、虐待を受けた経験や、母親など家族との関係が良くない点といった愛着障害が見られたと話しました。 (慈恵病院 蓮田 健院長) 「残念なことだが、親御さんたちは自分のことでいっぱいいっぱいで、赤ちゃんのために、なにか嬉しい言葉をかけられるような感じではない。でも(赤ちゃんは) かけがえのない存在。 もしも親御さんが余裕がなくて、いてもらっては困ると言ったとしても、周りの大人が助けるべきではないか」 講演では、乳児院の職員不足や産婦人科の経営危機などにも触れ、社会全体の理解と支援が重要と訴えました。 (参加者) 「女性の妊娠に関わる背景、家族関係など、そういったところを整えていくことが一番大切」 (参加者) 「赤ちゃんポストがあることは ニュースなどで知っていたが、いろいろな思いを持ってくる方がたくさんいると改めて感じた」 参加者は熱心に耳を傾け、“いのちの重さ” をかみしめました。