石破内閣が発足、外交・経済は岸田路線を継承-経済対策の検討を指示
(ブルームバーグ): 石破茂内閣が1日、発足した。当面は外交や経済財政運営など、岸田文雄政権の路線を継承する考えだ。27日投開票の衆院選を念頭に、経済対策の検討を早急に指示する方針も明らかにした。
財務相に加藤勝信元官房長官、外相に岩屋毅元防衛相を起用。内閣の要となる官房長官には旧岸田派の林芳正氏が続投することで、政策の継続性を示す形となった。
石破首相は夜の就任会見で、「賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現するため、岸田政権が進めた成長戦略を着実に引き継ぐ」と明言。デフレ経済からの脱却を確実にし、内外からの投資を引き出す「投資大国」を経済政策の大きな柱に据えるとも述べた。
石破首相は自民党総裁選を争った他の8候補を「最もふさわしい役職」につける考えも示していたが、決選投票の相手だった高市早苗元総務相らは党四役や閣僚ポストから外れた。最大派閥だった旧安倍派からの閣僚もゼロとなり、火種を残した。自民党には裏金事件への批判がくすぶっており、次の衆院選で与党が議席を大幅に減らすことになれば高市氏らの動向が政権の不安定要因になる可能性がある。
助言会社アジア・グループ(TAG)で日本担当アソシエートを務める西村凜太郎氏は、林官房長官の続投は継続性を示す兆候の一つだと指摘した上で、石破首相の課題は閣僚や党の重要ポストから外した右派議員の動きを制御することだと語った。敵対視し続ければ、あらゆる手を尽くして石破首相の政策を遅らせたり、骨抜きにしようとしたりする恐れがあるとの見方を示した。西村氏は英語で取材に答えた。
女性閣僚は2人に減少
閣僚人事ではこのほか、経済再生担当相には側近で岸田内閣の財務副大臣を務めた赤沢亮正衆院議員を充て、加藤氏と共に経済財政運営を担う。金融担当相は加藤氏が兼務する。経済産業相は武藤容治衆院議員を起用。防衛相に中谷元氏が再登板する。
加藤財務相は、首相交代で政権の経済財政運営を市場が注目していることを「しっかりと理解しながら、適切なコミュニケーションを図っていきたい」と語った。石破首相からは、経済あっての財政の方針の下、賃上げと投資をけん引する成長型経済を進めてほしいとした上で、補正予算の編成も想定し、メリハリのある財政運営を行うよう指示を受けたという。