<ライブレポート>LUNA SEA、バンド史上最大規模となった35周年ツアーを黒服限定GIGで締めくくる
バンド結成35周年を記念した全国ツアー【LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA】を2024年春から開催しているLUNA SEA。3つの“EPISODE”を展開してきた全41本にも及ぶこのロングツアーだが、ついにファイナルを迎えることとなった。キャリアの様々な時期を細かく再演してきた本ツアーを締めくくったのは、神奈川県民ホールでの黒服限定GIG。“LUNACY”として漆黒のインディーズ時代を蘇らせた11月15日公演の模様をお届けする。 その他の画像 バンドの活動初期に使用されていたLUNACY名義で行われてきた【黒服限定GIG】。東京ドームでのフリーライブや、【LUNATIC FEST.】のオープニングアクト、そして直近では2022年開催の【黒服限定GIG 2022 LUNACY】でステージに舞い戻ってきたLUNACY。近年の大規模なGIGとは打って変わってホール規模で浴びるダークな音像の魅力は計り知れない。 真っ黒に染まった会場が暗転すると、SEのバウハウス「King Volcano」が鳴り出し、ステージにはレーザーでLUNACYのロゴが映し出される。そして、INORAN(Gt.)のクリーントーンを皮切りに、大曲「Search For Reason」が始まり、会場の空気が一気に変化。RYUICHI(Vo.)の咆哮、INORAN、SUGIZO(Gt.)とJ(Ba.)が奏でる狂気的な旋律、真矢(Dr.)の突き抜ける打音。その世界観にどっぷりと飲み込まれていく。曲の中盤に差し掛かったところで、バンドは流れるように「PRECIOUS…」に突入。スローな前曲からはじける疾走感への切り替えが堪らない。「神奈川、会いたかったぜ!ここにいる全員であり得ない世界を見に行きましょう」というRYUICHIの言葉から鋭利な「SLAVE」、鬼気迫る歌唱が圧巻の「BRANCH ROAD」とダークな楽曲を畳み掛ける。呼応するように会場の熱量もどんどん高まっていく。 これまでの勢いに拍車をかけるように、ハードコア色の強い「SYMPTOM」がSLAVE達のヘドバンを誘発する。全く容赦の無いセットリストであると同時に、改めて初期LUNACYの独創性を実感させられる内容でもある。RYUICHIがツアーの感謝を述べたあと、Jの淡々としたベースラインがグルーヴィーに牽引する「SANDY TIME」を投下。この退廃的な音像には無二の魅力が詰まりまくっている。そして、そこから間髪を入れずに「SUSPICIOUS」へ。2ndデモテープにしか収録されていないレアな楽曲だが、ライブにおける爆走する激しさから最後はSUGIZOが奏でる儚いヴァイオリンの旋律に変化するというアレンジはまさにオリジナリティの塊だろう。そして、前半ラストは荘厳な「LASTLY」が届けられた。メジャーデビュー後の3rdアルバム『EDEN』の収録曲だが、もとは1990年に無料配布されたデモテープに収録されていた曲であるため、実は今回のコンセプトにもマッチしている曲だ。神秘的とも言えるこの世界観は会場全体を染め上げ、強烈な余韻を残してバンドはステージを去った。 本ツアー全公演で行われてきた真矢の全身全霊なドラムソロから幕を開けた後半はより怒涛な流れに。各楽器の複雑なフレージングが巧みに絡み合う「MECHANICAL DANCE」でスピーディーにスタートすると、そこから激レアゾーンに突入。「お前らやれるか!」と1stデモテープにのみ収録されている「KILL ME」でメタリックに疾走したと思えば、次は定番曲「TIME IS DEAD」の原曲「SEXUAL PERVERSION」がダークなグルーヴで会場を揺らす。濃密すぎる時間だ。 「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」で会場を一つにすると、その熱気に追い打ちをかけるように爆走する「CHESS」でとどめを刺してくるLUNACY。Jのイントロのベースラインが響き渡った瞬間の空気の変わりようは言葉では説明し難い。そして、本編のラストを飾ったのは、再び「SEARCH FOR REASON」。LUNA SEA初期を代表する大曲の前後編でライブの本編を挟むという、2022年の黒服限定GIGでも行われた斬新で憎い演出だ。RYUICHIのシャウトは圧巻そのもので、今の彼のコンディションの良さが伝わってくるパフォーマンスだった。 再登場したメンバーが本ツアーではおなじみとなったファンからの寄せ書き横断幕をドラムセット下に飾ると、アンコールはスピーディーな「SHADE」で再びボルテージを上げていく。そこに「Dejavu」とこれまでの“闇”から“光”へと空間が浄化されていくような、一体感と多幸感に満ちた曲が続く。 おなじみのメンバー紹介も今年最後となる。各メンバーがツアーをファンと廻りきれたことへの感謝を述べていく。 まずは真矢が「(ツアーを)廻りきれたことが嬉しいんじゃなくて、全箇所に皆がいてくれたことが嬉しくて。皆は俺たち5人の最高の誇りだ!」とファンに感謝を伝える。秦野駅の駅メロをLUNA SEAの楽曲に変更する署名活動にも触れ、「神奈川をLUNA SEAで染めようぜ!来年2月は東京を、そして日本をLUNA SEAで染めようぜ!」と熱いメッセージを届けた。 Jは「35周年で一箇所一箇所、自分たちが作った曲を改めて演奏して、一緒に燃え上がれるということは、本当に俺たち幸せなバンドだなと改めて思ってます! 一本一本景色が全然違って、一本一本学ぶことが沢山あって。刺激いっぱいのツアーが今日でファイナルを迎えると思うと、寂しい想いと沢山の感謝と色々な感情が渦巻いていて、あまり言葉にできませんが、本当にどうもありがとう。35周年の節目にLUNA SEAの駅メロだぞ! 本当にありがたいよな。東京ドームまでこのまま行こうぜ!」と想いを伝えた。 続くINORANは「僕らは神奈川出身ってわけじゃないんだけど」と言い間違え、会場中がザワザワするハプニングを引き起こしたが、そのおかげでよりストレートな言葉になった。「カッコつけないでしゃべるよ!ファイナルで、メンバーやスタッフ、皆とも東京ドームまで会えなくなるのが本当に寂しいよ。(ツアーを通して)季節も3つ超えました。何年ぶりの場所だったり、色々行ったけど、何をしたかじゃなくて、誰といたかなんだよ。このメンバーとツアーを全部支えてくれたスタッフが40~50人いるんだよ。地方でもその時に来てくれるスタッフがいて、そしてお前らもいるんだよ。心から感謝を申し上げます。どうもありがとう! そして、東京ドーム。誰といたいか。俺はお前らといたいからさ! 絶対来いよな!」 SUGIZOは「このツアーは相模大野から始まって、【EPISODE 3】がここ神奈県民ホールで終わる。神奈川を背負って立つバンド、LUNA SEAです。神奈川の誇りを背負って、グランドファイナル・東京ドーム。全員の顔が見たいから、全員の顔を覚えて帰るから、一緒に旅を続けてください。俺たちの旅は2月まで続くから、今後のストーリーの続きを一緒に体験しましょう。LUNACYの黒服限定では<この苦しみを呉れてやる><この悲しみを呉れてやる>と歌っていますが、その心は<この喜びを呉れてやる><この幸せを呉れてやる>。そう認識していただき、引き続きLUNA SEAを末永くよろしくお願いします。心から愛してます」とユーモアを交えつつ、真摯に想いと感謝を届けた。 SUGIZOから「かながわ観光親善大使、神奈川の誇り」と紹介されたRYUICHIはマイクを通さずに「愛してるよ!」とシャウト。スタッフへの拍手を促したあと、恒例の#LUNAPIC(写真撮影OKタイム)に入る。本ツアーで毎公演欠かさずに「WISH」で実施されてきた本企画だが、これも最後だと思うと寂しさがこみ上げてくる。もともと多幸感を体現した様な曲だが、この日の「WISH」は本ツアーでの中で一番幸せな雰囲気をまとっていた。 「WISH」が終わり、メンバーがステージ中央に集まる。RYUICHIが「ドームのチケットが売れたから喜ぶとかじゃなくて、俺たちにしかできないドームのショーの在り方をきっとみんなと一緒に作っていけると思うんだ。それを作れた時、初めて“東京ドームに立ててよかったな”と思うはず。GLAYも前日に一緒に演ってくれるし、当日のメニューも熱量も負けないから、暴れてください」と語った。そのまま大団円になるかと思いきや、客席が一体となってアンコールを要求。これだけ長く続いたツアー。それをもう少しだけ長く続けてもらえるように、そんな想いが溢れているファンの声だ。メンバーが少し打ち合わせをし、JがOKのサインを出すと大歓声が挙がる。 「じゃあ、もう一丁行こうか! ファイナルだからね。地元だしね。俺たち、全87曲をツアーを通して、タイムリープっていうのかな。いろんな年代の自分たちともう一度出会って、とにかく、すごい日常を過ごしてきました。LUNACYの扉を開いたのはこの曲なのかな?まだまだタイムリープして皆と共に盛り上がっていきたいと思います!」というRYUICHIの紹介から披露されたのは、1stアルバムの1曲目に収録されている「FATE」。短くも勢いに満ちたパワフルな疾走曲でSLAVE達は一体となり、LUNA SEA史上最大規模のツアーは締めくくられた。 ツアーは終了したものの、バンドも言っていた通り、来年2月には東京ドーム公演が控えている。GLAYとの約25年ぶりの直接対決、そして35周年を締めくくるワンマン。2023年の【LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023】、そして2024年の【LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA】を通して様々な時代の楽曲と対峙してきた彼らが、この2日間でどのようなステージを魅せてくれるのか、当日が待ち遠しくて仕方ない。 Text:Haruki Saito Photos:田辺佳子 ◎公演情報 【The Millennium Eve 2025】 2025年2月22日(土)東京・東京ドーム 出演:LUNA SEA、GLAY 【LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE-】 LUNATIC TOKYO 2025 -黒服限定GIG- 2025年2月23日(日・祝)東京・東京ドーム