黒岩祐治・神奈川県知事に聞く(全文2)依存では超高齢社会乗り越えられない
未病改善の取り組みで感じた為政者側の論理
── 確かに今までなかった日本社会ですね。先ほど国家戦略特区の話も出ましたが、人口減少が起こったことによって、今までになかった社会構造、新しい日本の概念、そういうイメージで捉えている感じでしょうか。 そうですね。白赤モデルからグラデーションモデルへという、この変革というのは、非常に大きな意味があるなということをやりながら感じています。というのは、白赤モデルというのは霞ヶ関にぴったりくる論理なんですね。赤いところを見ているのが厚生労働省。厚生労働省だから、そこに医学部が続いていますね。 医学部教育もある。やっぱり赤いところをみんな一生懸命やっているわけですね。ところが、最初グラデーションモデルを見せたときに、霞ヶ関の思考がぴたっと止まりました。それを実感しました。要するに、どう対応していいかわからないのです。 食と運動と社会参加、これが大事だと言ったらば、「食の担当の省庁はどこだ」と。「農林水産省か」とか、「運動はどこだ」と、「文部科学省か」とか、「社会参加ってどこなんだ」と、わけのわからない議論をしているわけですよね。何が起きたかというと、白赤モデルというのは、為政者側の論理なんですね。「そんなこと関係ないでしょう」と言ったときにグラデーション、グラデーションモデルというのは、自分を主体とした論理なんです。 だから、為政者側の論理から自分主体の論理に変えていこう、という大きな変革が実はここにあるわけです。そうすると、やっぱり圧倒的な超高齢社会を乗り越えるためには、依存していたらだめなんです。今までだったら、ある種、依存型。白赤モデルというのは、一人一人にとってある種、依存型なんです。 病気になったら病院に行って先生に診てもらえばいい、お薬をもらえばいい、何とかしてくれるよと。でも要するに、もう何とかしてもらえる余裕がなくなってきている、となったら自分で自分のことを見ていかなきゃいけないという。やっぱり大きな変革です。意識改革に当たるといったことが今、進みつつあるということなんです。 ※黒岩祐治・神奈川県知事に聞く(全文3完)に続く