【詳細データテスト】マセラティ・グラントゥーリズモ 快適志向のGT ただしドライビングも楽しめる
テストコース ★★★★★★★★☆☆
テスト中は天候に恵まれ、4WDの必要性を感じないようなコンディションだった。冬道でのような走りを再現するには、ウェットハンドリングコースが必要となった。 トラクションは常に強力で、ホイールスピンで安定感を失うことなく大パワーを使うことができた。走行モードをGTやコンフォートにしておけば、コーナーでもドライバーを安心させ、電子制御システムはスライドする前にすべらないよう抑え込む。それでいて、もともとの後輪駆動的なキャラクターを鈍らせることはない。 スポーツモードではシステムの制御が緩み、ドライビングを楽しめるが、分別ある範囲に収まる。コルサモードでは、どうみてもスタビリティコントロールがオフになっているのを感じさせ、4WDシステムは真っ直ぐ走らせようとすることもあるが、テールスライドさせることができるようになる。下段のタッチ画面でESCを完全に切らないと、システムがいかに補助してくれていたかを思い知る。 このグラントゥーリズもですべりやすいコンディションへ踏み出すのをためらわせる要素があるとしたら、比較的限られたフロントのグリップだ。すばらしいステアリングは、フロントがワイドに流れそうな場合に十分すぎるほどに注意を喚起して、乗りこなせるようにしてくれるが、寒くて路面が濡れがちな季節には冬タイヤを履いたほうがいい。標準装着のグッドイヤーは、水たまりでも明らかに苦戦するのだから。
運転支援 ★★★★★★★☆☆☆
テスト車には、各3480ポンド(約65万円)のADASベースパッケージとレベル2パッケージが装備されていたが、これでも運転支援はキアの中級レベルといったところ。アダプティブクルーズコントロールの作動状況は上々で、加速も減速もスムース。隣接レーンの走行車や割り込み車両に惑わされることもなかった。半自動ステアリングシステムや、緊急レーンキーピングアシスタンスも比較的スムースだった。 レーンキーピングアシスタンスと速度超過警告は、エンジン始動時に作動することが義務付けられているが、完全にオフにすることも可能。制限速度認識がかなり不正確なので、速度超過警告は切ったほうが心穏やかに運転できる。 マセラティ曰く、テスト車は初期生産車なので、死角モニタリングは完成品ではないとのこと。たしかに、常に右側に障害物があると誤認していた。また、後方カメラがブラックアウトすることもあった。