紅葉が進む信州各地の名所 にぎわうも色づきは遅れ気味
山岳県の信州・長野で紅葉が進み、各地で県内外から訪れる人のにぎわいが続いています。これまでの時季はずれの高温や長雨などで地域によっては「例年より色が悪い」、「紅葉が遅れている」などの厳しい評価も。ただ、このところの冷え込みで標高の低い山間地などでやや赤味が少ないものの全山紅葉となっているところもあります。 【動画】信濃路を駆け抜けるSLの汽笛 11月のイベント運行へ試運転
日照不足や雨、高温の影響か
戸隠山のふもとにあって紅葉の名所となっている長野市戸隠の鏡池は22日、多くの人でにぎわいました。1週間前の15日の土曜日も人出がありましたが、ほとんど色づきがなく、早朝埼玉県から駆け付けた中年男性は「こんな状態とは思わなかった」と苦笑い。ここへ来てやっとの紅葉です。
長野市に近い高山村(上高井郡)の松川渓谷は、千曲川支流の松川沿いの標高差1000メートル余に及ぶ大きな渓谷が全山紅葉となる迫力で知られ、この日も観光バスが列をつくりました。高山村によると、松川渓谷は深いV字の谷で、広大な山腹を覆う落葉広葉樹の紅葉が見どころ。特にカエデ類が多いので、例年は赤色が目立ちます。
松川渓谷を車で登り切った高地にある山田牧場も、周囲を囲む丘や山々が鮮やかな色に。大型バイクで訪れたツーリングのメンバーも何人か。東京からの中年男性は紅葉を楽しみながら「毎月1回ぐらいのペースでバイクの旅を続けています」と話していました。 冬のスキーなどで知られる志賀高原も、木々が鮮やかな色を見せており、丸池など大小多くの湖沼の紅葉を狙うアマチュアカメラマンが車で駆け付けています。数日間の紅葉の旅を続けているという県外の中年の夫婦は「昨日は戸隠の鏡池がとてもよかった。今日は志賀でまた別の楽しみがあります」と話していました。
軽井沢町の紅葉の観光ポイント「白糸の滝」(しらいとのたき)では、細く幾筋も流れ落ちる滝と日の光に揺れる色づいた木々の葉の競演が観光客を楽しませていました。団体のツアーや中国人観光客のグループなどが舞台に立つような半円形の環境での写真撮影を楽しんでいました。 北アルプスなどの動植物に詳しい自然写真家の丸山祥司さん(71)=長野市=の話だと、今年は日照不足や雨、高温などで紅葉の赤色が十分に出ず、黄色くくすんだ色合になっているところが目立ちます。 各地を訪れた観光客や長野市内の市民の間でも「今年の紅葉は色づきが悪いし、葉が茶色に枯れたようになっているところも多い」と残念がる声が。それでもこの時季は紅葉の話題が尽きない、いつもの信州の秋となっています。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説