キオクシアが東証上場、順調な滑り出し-公開価格から一時13%高
(ブルームバーグ): キオクシアホールディングスが18日、東京証券取引所プライム市場に上場した。年内最後の大型の新規株式公開(IPO)であり、投資ファンドが保有株を売却する案件に対する投資家の需要を計る試金石にもなりそうだ。
午前9時に付いた初値は公開価格比1%安の1440円だったが、その後買い注文を集め、午後の市場では公開価格を約13%上回る1640円を付けた。
初日の株価の動きについてアセットマネジメントOneの岩本誠一郎ファンドマネジャーは、これからの回復期待があるのだろうとの見方を示した。公開価格が安い水準で決まったことも買いを集めたとみる。
ブルームバーグのデータによると、キオクシアの株価純資産倍率(PBR)は約1.7倍。競合する米マイクロン・テクノロジーの約2.7倍に比べて割安だ。
アシンメトリック・アドバイザーズの日本株ストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は、公開価格が仮条件の中間で決まったことを考慮すれば、それを上回って推移しているのは、比較的良いサインだと評価した。
期待はあくまで「中長期」
一方、NANDの市況低迷が長引いている点に懸念を示す声も出ていた。データセンター建設の復活が価格を支えてはいるものの、業界全体としては力強い回復に至っていない。岩本氏は、「まだグロースの確信が持てない段階」と指摘した。
中長期では同社が手掛けるNAND型メモリーは世界的なAI(人工知能)ブームの恩恵を受ける可能性がある。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは「メモリー中心であるため目先の業績は期待できないが、中長期では成長できるだろう」と話す。
上場に併せて米投資会社ベイン・キャピタルが保有株の一部を売り出した。プライベート・エクイティー(PE、未公開株)ファンドがエグジットする案件に対する投資家の需要を測る試金石ともなり得る。
今年の国内IPO市場では、東京地下鉄(東京メトロ)やリガク・ホールディングス、タイミーといった大型案件が相次ぎ、市場からの資金吸収総額は2018年以来の最大に膨らんでいる。