京都の「技の地産地消」加速 陶芸や木工、手仕事の技を発信する施設が移転へ、より多彩に
京都府南丹市に根付く手仕事の技を発信する施設「わざどころPON」(同市八木町八木)が同町諸畑の蔭凉寺(いんりょうじ)に移転する。移転前最後の企画展を23日まで開いており、展示販売やワークショップで陶芸や木工を伝えてきた8年近くを回顧。市内工芸家の逸品もそろえた。移転先の改修のため再オープンは1~2年後だが、作り手と地域内外をつなぐ「技の地産地消」を加速したいとする。 【写真】元理髪店を活用した「わざどころPON」の外観 PONは2017年2月、南丹市のJR八木駅近くの市街地にオープンした。 工芸家や農村の知恵を継ぐ住民が多い南丹だが、技に触れられる場が少ないとして、空き店舗を活用。工芸展に加え、作家の器でコーヒーを飲んだり、陶芸や着付け、みそ造りを体験したりする催しを続けてきた。 一定の知名度を得たことや、PON代表理事の黒田香菜子さん(34)の子育ての都合から移転を決めた。 現在地での最終展では、今までの活動をパネルで示し、技を持つ人への応援や体験を広げる理念を伝える。市工芸家協会の7人による多彩な陶器も並ぶ。 移転後は、僧侶である黒田さんの夫が鍼灸(しんきゅう)院を営む蔭凉寺の境内にたたずむ歴史ある小屋を活用する。改修中の1、2年間はインターネット通販やデザイン業務に絞るが、再開後は展示や茶会の場としていく。 同寺は木喰仏(もくじきぶつ)の拝観者が多く、黒田さんは「遠方の人にも知ってもらえる。より発展させたい」と話す。 展示は23日までの午前11時~午後4時。入場無料。日、月曜休み。