商社船舶部出身者が海外船社へ。海運業界人材の流動化が活発に
デンマーク、ギリシャなどの海外船社が2022年以降、日本拠点を相次ぎ新設している。こうした日本拠点の人材として商社船舶部や海運会社、ブローカーの中堅社員が採用されている。海外船社はここ数年、自前で日本に拠点を持つことで、直接、日本船主や造船所、地方銀行にアプローチしたい意向を持つ。海外船社の日本拠点の相次ぐ新設により、海運業界でも人材の流動化が活発化している。
■海外勢、直接交渉も
22年以降に日本に拠点を新設したり、日本人駐在員を増強したりした海外船社はノルデン(デンマーク)、ウルトラバルク(デンマーク)、ヘリコンシッピング(ギリシャ)、ユニオン・マリタイム(英国)、エラスムス・シップインベスト(ギリシャ)、クラブネス(ノルウェー)―など複数社に上る。
ユニ・アジアキャピタルジャパン、フェドナブ(カナダ)など既に日本に拠点を持つ会社も日本の商社や海運会社から人材を確保している。
これ以外に、海外ブローカーではクラークソンズやMBシップブローカーズも日本人駐在員を拡充している。
海外船社が日本に拠点を新設する理由の一つには日本船主や造船所、地銀と直接交渉したいという思惑があるようだ。
関係者によると、複数の海外船社が日本海事新聞の取材に対し「自社で直接、情報を収集して日本船主や造船所、地銀、カーゴオーナーにアプローチできる機能を日本に持ちたい」(海外船社首脳)と説明している。
こうした海外船社の日本拠点に転職している人材では商社船舶部の出身者が目立つ。
従来、海外船社は日本の商社船舶部、ブローカーを通じ日本船主や地銀、カーゴオーナー(荷主)に接触してきた。その点で、海外船社の日本拠点に商社船舶部や海運会社の出身者が登用されるのは、「当然の選択」(海外船社首脳)という指摘もある。
商社船舶部出身者は仲介からS&P(船舶の売買船)、日本造船や船主とのコネクション、船舶ファイナンスなど幅広い経験と知識を持つ。