センバツ高校野球 木更津総合、8強ならず 夏の雪辱を誓う /千葉
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第7日の25日、木更津総合は金光大阪(大阪)との2回戦に挑み、延長十三回タイブレークの末、3―4で敗れた。2点を勝ち越した十三回の裏に連続四死球で押し出しのサヨナラ負けを喫した。2016年に続く8強入りはならなかったものの、最後まで諦めずに戦い抜いたナインに、アルプススタンドからは総立ちの拍手が送られた。【長沼辰哉、山口敬人、隈元悠太】 均衡を破ったのは金光大阪だった。六回に先制を許した越井は「2点と1点では違う」とギアを上げるように全力で腕を振った。その思いは野手も同じだった。七回には、高く上がったファウルフライを取ろうと、一塁手の芦川がカメラマン席に飛び込む場面も。好捕とはならなかったが、スタンドで見ていた父の敦彦さん(54)は「持ち味のガッツあふれるプレーだ」と声援を送った。 打線がつながり始めたのは八回。渡辺の代打で送られた植木の打球は三塁手の前に転がったが、懸命に一塁に滑り込み内野安打とした。お守りを握り締めて観戦していた母の祐美さん(40)は「執念のヘッドスライディングだった」とたたえた。その後空の左前安打などで二、三塁とすると、中西が二塁手の失策でようやく1点を返し、同点に追いついた。 その後も両者譲らず延長戦に突入。アルプススタンドでは「延長戦でも気合を入れて応援しましょう」と野球部員らがスタンドを鼓舞して熱いエールを送り続けた。 タイブレークで無死一、二塁から始まった延長十三回表には、先頭の中西が送りバントを決め、手をたたきながらベンチに戻った。1死二、三塁で打席に立った続く菊地が、狙い通りに初球を中前に打ち返し、走者2人を生還させ勝ち越しに成功。アルプススタンドはオレンジ色のメガホンを鳴らして歓喜した。 ところがその裏、2死まで追い込んだところで再びマウンドに上がった金綱に、あと一人のところで四死球が重なった。「打たれてしまったら終わり。攻めるしかない」と果敢にコースを攻め続けたが、満塁から押し出し四球で1点を許し、さらに死球で押し出しのサヨナラ負けを喫した。 「全員野球がなかなかできず、うちらしくない野球になった」。五島監督は試合をこう振り返った後、「2試合ともにいいピッチャーに当たった。この経験は大きい。積極的に振っていけるよう、夏までに練習したい」と再起を誓った。2試合続けてのタイブレーク突入にも、最後まで諦めず勝利を信じて戦い続けた選手たちは「気持ちの弱さが出た。猛練習して克服する」と夏の甲子園での雪辱を誓った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇躍進へ自分見つめ直す 木更津総合・山田隼外野手(3年) 外野フライや三振が続いていたこの日、同点で迎えた延長十二回表、2死一、二塁の場面で6巡目の打席が回ってきた。 1球目を見送り、続く2球目。思い切り強振した打球は「真っすぐを捉えた」手応え通り左翼方向にぐんぐん伸びたが、フェンスの手前で捕球され、思わず天を仰いだ。 昨秋の県大会では過去最多の5本塁打と、春、夏、秋を通じて県大会初の4試合連続本塁打を記録し、チームを引っ張った。関東大会では警戒され、厳しいコースを攻められて思うようなバッティングができずに悩んだ時期もあった。「バットを強く振ることができなかった」と芯でボールを捉えられるよう飛びにくい木製バットも取り入れて練習に打ち込んできた。 「体が硬い方だが、高校入学からここまで大きなけがもせず、よくがんばった」。スタンドで観戦していた母の菊代さん(48)はねぎらった。 延長十三回表には、快足を生かして二塁から生還し、笑顔で3点目となるホームを踏んだ。試合は悔いが残る結果となったが「捉えたつもりでも、打球が外野の頭を越えないのは振り込みが足りなかったから。もう一度、甲子園に戻れるように自分を見つめ直して練習したい」と躍進を誓った。【長沼辰哉】