山で料理する派が選ぶべきクッカー「MSR/セラミック ソロポット」|これからの山道具図鑑 Vol.2
山で料理する派が選ぶべきクッカー「MSR/セラミック ソロポット」|これからの山道具図鑑 Vol.2
環境に配慮した道具であることを前提に、これまでにはない新たな機能性、アイデアをもった道具をセレクト。それらを「これからの山道具」としてレビューするのが今企画。 今回取り上げるのは、MSR/セラミックソロポットだ。 安全で耐久性に優れるフュージョンセラミックのコゲつき防止加工が施されたクッカー本体は、アルミ製。容量は1。3ℓ。ソロ用としてはやや大きい。でも、調理好きなら重すぎはしない重量208g。調理がしやすい開口部の広い浅型で、握りやすい大型ハンドルも装備。その実力を確かめてみた。 編集◉PEAKS編集部 文・写真◉ポンチョ 写真◉長谷川拓司。
山でつくることの多いラーメン
山で食べる料理は美味しい。これまでいろいろな料理をして食べているが、もっとも作っているのがラーメンだ。なにより、大した手間が掛からないのに、満足度が高いことも、よく作る理由のひとつ。 そして真夏でも標高が高ければ気温は20℃前後。それ以外の春~秋は10℃前後となるので、温かいラーメンは身体に心地いい。 上の写真は、昨年末に登った伊豆大島の三原山登山のときに作って食べた、具たっぷりのラーメン。気温は5℃くらい。アツアツのラーメンがじっくり沁みた。 また、このときは妻とふたりでの登山だったので美味しさを重視し、木製の丼も用意して盛り付けた。クッカーを丼代わりにして食べるよりも、美味しさのレベルが数段上がる。装備を軽くしたい登山時に丼を持って行くことはないけれども、山でちょっとぜいたくな時間をすごしたいときに、丼1個、200g程度の重量増は大して苦にはならない。三原山では丼2個だったけれども、デイハイクであれば問題ない重量増だ。
ラーメン作りに適したクッカーを考えてみた
さて、美味しいラーメン作りに欠かせないのが、ちょっと大きめのクッカーだ。それが今回紹介するMSR/セラミックソロポット。 スペックは以下のとおり。 サイズ:15×7。6cm(容量1。3ℓ) 重量:208g 価格:円9、900。 いわゆるULクッカーの容量は0。75ℓ。カップ的な0。5ℓ程度のものも多く、重量は100g前後。鍋底は小さく縦長の深型。素材はチタン製で、コゲつき防止加工が施されていない、軽量コンパクトさを重視したものだ。 湯沸かしをするだけなら、このULクッカーは機能する。でも袋ラーメンを茹でるとなると、容量が小さい。 袋ラーメンを茹でるのに必要な水は0。5ℓ前後。その水を沸騰させて乾麺を投入すると、0。75ℓ容量クッカーでは、満水に近い状態になってしまう。 そこに具を投入すると、確実に噴きこぼれる。だから弱火にしたり、水を少し減らしたりして調整するのだけれども、そうすると、湯の対流が弱くて麺がくっついたり、粉っぽさが出る。 これまでいろいろな、容量0。75ℓ前後の深型ULクッカーでも袋ラーメンを作ってきたが、美味しくできたモノはひとつもなかった。 湯を注ぐだけでできるカップラーメンやリフィルラーメンにすれば、クッカーは軽いまま、美味しいラーメンが食べられることはわかっている。けれども、私はカップラーメンよりも満足度の高い袋ラーメンを、山で美味しく食べたいのだ。 上の写真は、MSR/セラミックソロポットで袋ラーメンと具を茹でているときのもの。 容量1。3ℓのこのクッカーは具を入れても、余裕をもって茹でることができているのがわかるだろう。 容量1。0ℓあればなんとかなるが、1。3ℓのこの余裕が、失敗のないラーメン作りを後押ししてくれる。 ちなみに、道具好きの私は、いくつかのちょっと大きめ浅型クッカーでも、ラーメン作りを試してきている。スノーピーク、トランギア、エバニュー、ユニフレーム、SOTO、パーゴワークス……そして、昨年末から試してみたのがMSRだ。 それらを使ってわかったラーメン用クッカー選びの6つのポイントが、下記になる。 ①対流の起きにくい深型ではなく、対流が起きやすい浅型 ②容量は最低でも1ℓ。野菜等の食材を投入するなら噴きこぼれないように1。3ℓ前後 ③重量はフタと合わせて200g前後くらいだと重くなった感じは少ない ④直径は、袋ラーメンを割らずに収納できる15㎝以上 ⑤ラーメンのスープは油分があるので、拭き取りやすいコゲつき防止加工済みがベター ⑥クッカーを丼にして食べるなら、ハンドルは持ちやすい大きめでないと手が痛くなる。