「世界に認められた歴史ある文化」ユネスコ酒造りの文化遺産登録で広がる可能性 佐世保の造り酒屋も喜びの声【長崎発】
ユネスコの無形文化遺産に日本の「伝統的酒造り」の登録が決定した。長崎県内の酒造会社でも「世界に認められた歴史ある文化と自信を持っていい」と、喜びの声が聞かれた。 【画像】人の手に頼った温かみのある酒作り
海外に向けて箔が付く
長崎・佐世保市城間町の梅ヶ枝酒造は天明7年・1787年創業。 237年前の江戸時代から続く造り酒屋だ。 現在は日本酒や焼酎、ウイスキーなど約50種類を自社で製造し販売している。梅ヶ枝酒造・長野哲也社長は「海外に向けても箔(はく)が付くのは正直うれしい」と喜びを隠せない。 ユネスコの無形文化遺産に登録が決定した日本の「伝統的酒造り」は、杜氏や蔵人たちがこうじ菌を用い、経験に基づいて築き上げてきた技術を指す。 梅ヶ枝酒造でも、酒の原料となる米を少しずつ手洗いし、その日の水温や米の状態を見ながら給水させるなど、人の手に頼った温かみのある酒造りを長く続けてきた。
世界に認められた歴史ある文化
伝統的な酒造りは、カビ菌=こうじを使っていて、日本酒、焼酎、泡盛、本みりんなど多岐にわたる。先に登録された日本食のしょうゆや味噌とルーツは一緒だ。 長野社長は「私たちが日常にやっていることは世界に認められている歴史のある文化であり、日本人は自信を持っていい。そのすばらしさを再認識できた。今回の無形文化遺産登録はすごく意味があることだと思う」と話す。 無形文化遺産には、これまでに歌舞伎や和紙などが登録されており、今回で国内23件目となった。「和食」は、2013年の登録を機に、海外から特に注目されるようになっている。 関係者は「酒造りでも文化的価値を守りながら世界に広めるきっかけになれば」と話している。
日本のユネスコ無形文化遺産
1. 能楽 2. 人形浄瑠璃文楽 3. 歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎) 4. 雅楽 5. 小千谷縮・越後上布 6. 奥能登のあえのこと 7. 早池峰神楽 8. 秋保の田植踊 9. 大日堂舞楽 10. 題目立 11. アイヌ古式舞踊 12. 組踊 13. 結城紬 14. 壬生の花田植 15. 佐陀神能 16. 那智の田楽 17. 和食:日本人の伝統的な食文化 18. 和紙:日本の手漉和紙技術 19. 山・鉾(ほこ)・屋台行事 20. 来訪神:仮面・仮装の神々 21. 伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術 22. 風流踊 23. 伝統的酒造り (テレビ長崎)
テレビ長崎