【日本株週間展望】底堅い、日銀総裁講演や主な意見で円安期待続く
(ブルームバーグ): 12月4週(23-27日)の日本株は底堅い動きになりそうだ。日米の金融政策決定会合を終えた安心感や為替の円安で投資家心理が上向く。ただ、米国など海外市場の一部がクリスマスの祝日で休場を挟むこともあり、積極的な買い材料は見込みづらく上値は重いだろう。
日本銀行の植田和男総裁が25日に経団連審議員会で講演し、27日に日銀が12月の金融政策決定会合の「主な意見」を公表する。会合後の総裁会見は追加利上げに慎重なハト派と受け止められ、為替市場で円安が進んだ。追加利上げがさらに後ずれするとの観測につながれば円安基調は続きやすく、日本株の支えになり得る。
休暇時期で海外を中心に流動性が低下しやすく、悪材料が出た場合には値動きが激しくなる可能性もある。円相場は約5カ月ぶり安値を更新したことで日本の通貨当局によるけん制発言が出ている。為替市場で介入警戒感が高まる場面では株式投資家の心理にも影響しそうだ。
経済指標では27日に12月の東京都区部消費者物価指数(CPI)や11月の小売売上高、鉱工業生産が発表される。東京CPIは生鮮食品を除くコア指数の市場予想が前年比2.5%上昇と、11月の2.2%から伸びが拡大する見込み。海外ではクリスマスの祝日で25日に米英欧・香港市場などが休場となる。
12月3週の東証株価指数(TOPIX)は1.6%安と3週ぶりに反落した。米連邦公開市場委員会(FOMC)が見込む2025年の利下げ回数が減少し、米国株が急落した影響が日本株にも及んだ。
《市場関係者の見方》
SMBC信託銀行の山口真弘チーフマーケットアナリスト
植田総裁の講演や主な意見で円安期待が高まりやすく、相場の下値を支えるだろう。ただ、上値を追う力はなく、日経平均株価は3万9000円前後で方向感が出づらい。主な意見では、田村直樹審議委員の利上げ提案が否決された過程を確認し、利上げまでの距離を見極めたい。市場参加者が少ないため、突発的な報道などに対して相場の反応が大きくなりやすい点は警戒が必要。