『かぞかぞ』母の再手術、祖母の認知症…家族の話は喜劇に徹すると決めた七実「ウチの家族のことで笑ってくれる人がいたら最高」
◆七実の幸福観 もっと大きな問題は同居中の祖母・大川芳子(美保純)の認知症である。ひとみが自宅内で熱を出して寝込んでいることに気付かなかったり、草太の食事の準備を忘れたり、調理にどっさり醤油を使ったり、パジャマのまま外出したり。七実は今のところ認知症であることに気付かず、ただの面倒臭い存在であると思っている。だから、「ババア」などとなじってしまった。 認知症の発覚はひとみの再手術の時期が重なった。手術を知った芳子は「ひとみちゃん、かわいそう」と慟哭した。幼いころのひとみを思い出したらしい。手術が終わると、今度はひとみの名前を口にしながら徘徊する。 このドラマは認知症問題と高齢者のいきがい問題にも踏み込む。考えてみると、家族が大きなテーマだから、当然なのだ。 七実は自分の幸福観からも家族の存在を分けられない。それが好評を博している大きな理由に違いない。実は多くの人の価値観が同じだからである。 誰だって子どもの健やかな成長は喜ばしいし、親の死は身を切られるほど辛い。家族旅行は大切な思い出である。出世など仕事上のことに幸福を見出す人のほうが少数派ではないか。
高堀冬彦
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