『かぞかぞ』母の再手術、祖母の認知症…家族の話は喜劇に徹すると決めた七実「ウチの家族のことで笑ってくれる人がいたら最高」
◆七実の成長記としても面白い 眠り続けた七実を心配したのが、高校時代からの友人でマルチこと天ヶ瀬環(福地桃子)である。高校時代に彼女の母親がマルチ商法に熱心だったため、こう呼ばれるようになったが、いつの間にか自分もどっぷりマルチ商法に浸かっている。 七実が電話にも出ないため、環は一計を案じた。マルチ商法の商品「私らしくウォーター」を勝手にどっさりと送り付けた。七実は慌てて環に電話してきた。 「うちに怪しい水が届いてるんやけど」「返品できる?」(七実) よほど「私らしくウォーター」が迷惑なのだ。環は水の返品を受け付けるという名目で七実の家を訪ねた。 その場で環は七実を慰める、しかし七実は環の前でも劣等感を口にする。自分を「最低の人間」と責めた。グチだ。 しかし、そんなことを言い続けても仕方がないから、環は七実にカンフル剤を与える。 「自分のせいにするのって楽ですよね」(環) 辛辣な言葉である。それでも七実が不貞腐れていると、環は突き放した。 「傷付いているからといって、人の思いを踏みにじったり、何を言ってもいいという免罪符はないと思います」(環) このドラマは家族の物語が中心だが、七実の成長記としても面白い。七実は周囲から叱咤激励を受けることによって大きくなっていく。 環の出番はそう多くないが、印象が濃い。環の登場シーンは“ボーナストラック”のようなもので、お得感がある。大抵は笑いを誘う。爆笑ではなく、クスクスといった忍び笑いである。ご存じの方が多いだろうが、環役の福地桃子(26)は「アニキ」と呼ばれている哀川翔(63)の実娘だ。
◆家族の話は喜劇に徹する さて、七実を復活させた立役者は草太だった。七実が草太と遊園地に行ったエピソードを投稿サイト(ブログ)に書いたところ、大ウケとなり、エッセイストになる道が拓けた。 七実の高校時代を思い出す。当時の彼氏・小平旭(島村龍乃介)は草太の存在を知った途端、連絡して来なくなった。草太を疎んじたのである。七実は憤った。 「ダウン症の子がいる家にはいろいろあるけど、ウチの家族にとって弟は面倒のかかる存在ちゃう!むしろ私が家族の中で面倒な存在で、弟に助けられている!」(七実) その通りになった。草太に助けられた。また、家族の話は喜劇と徹することも決めた。 「ウチの家族のことで笑ってくれる人がいたら最高」(七実) 後半戦も目が離せない。 七実はエッセイストとして執筆活動をしながら、バーのママとしても働いている。客として来た七実のテレビ局の担当プロデューサー・二階堂錠(古舘寛治)が別の店に寄るというのでエレベーターまで送りにいった際、七実の高校時代の同級生・数藤茉莉花(若柳琴子)と再会する。彼女は、東京で売れっ子ホステスになっていた。おまけに二階堂と交際中だという。2人は親子ほど年が離れているから、七実は仰天した。 再会時の茉莉花の自己紹介は難解だった。 「私の全ては、きょうの私でははかれへんから。今でもアップデート中や」 茉莉花は高校時代、七実と違って華やかなグループに属していた。一方で、近畿学院大に落ちている。茉莉花が七実に対抗意識を燃やしたら、厄介なことになるに違いない。
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